ノニト・ドネア(39=フィリピン)が井上尚弥(29=大橋)と2年7カ月ぶりの再戦に敗れ、ベルトを失った。1回に最初のダウンを喫し、2回には井上の左フックでダウン。レフェリーが試合を止め、2回1分24秒、TKOで敗れた。

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モンスターの“餌食”になったドネアだが、井上に「ありがとう。コングラッチュレーション(おめでとう)」と語りかけ、紳士的に振る舞った。激闘に敗れた19年11月の借りを返すべく、すべてをかけて臨んだ一戦。現実は厳しかった。

ゴングが鳴った直後から積極的にいった。いきなり大きな左フックを振り、主導権を握りにいった。しかし、冷静に対処した井上に徐々にペースを奪われた。ラウンド終盤に連打を浴び、クロスカウンター気味の右ストレートをテンプルに浴びてしりから落ちた。

取り返しにいった2回だが、逆に猛攻にさらされた。左フックでグラつき、足がもつれてよろめき、最後はロープ際の連打から左フックを浴びて沈んだ。2回1分24秒TKO。2年7カ月の時間に比して、あまりに短い264秒だった。

前日計量後は「すべて最高です。とてもワクワクしている」と自信を示していた。前回対戦後から「打倒・井上」がモチベーション。「もっと強くなるためにすべてを変えてきた。食事、トレーニング内容、自分自身の物事の捉え方、思考すべてだ」と言った。

体力、技術面だけでなく精神面の強化に取り組んだ。瞑想(めいそう)によるメンタルトレーニングであらゆる場面で精神をコントロールできるよう取り組んできた。しかし、今回はそれさえさせないモンスターの破壊力があった。

試合後の会見場には「ダメージがある」と現れなかった。今年11月で40歳。最大目標に「4団体統一」を掲げていたが、唯一のベルトも失った。【実藤健一】

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