プロボクシングWBAスーパー、IBF王者の井上尚弥(29=大橋)が、全階級を通じて現役最強王者をランキングするパウンド・フォー・パウンド(PFP)の1位に選出された。創刊100年の歴史を誇る、米国の老舗ボクシング専門紙「ザ・リング」が発表した。世界的に最も権威のある日本人が1位になったのは史上初めて。7日にさいたまスーパーアリーナで行われた、5階級制覇王者のWBC王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)との統一戦に2回TKO勝ちした実績が評価され、3位から頂点に立った。

PFPは階級の違いを考慮せずに、現役で誰が最強ボクサーかを比較するもの。歴史は古い。「ザ・リング」が、1944~60年代に圧倒的な強さで、ウエルター級、ミドル級の頂点に君臨したシュガー・レイ・ロビンソン(米国)を評価する称号として50年代に誕生したとされる。当時は全8階級で世界王者は各階級1人だけ。実際に対戦すれば最重量級のヘビー級王者が最強だが、体重差がないと仮定して対戦した場合、誰が最強かを示す指標とされ、89年にランキング化された。

現在は全17階級(WBCのみ18階級)あり、世界主要の認定王座も4団体に分かれる。団体によって1階級にスーパー、正規、暫定など複数の王者がいることもある。PFPでは過去に統一世界ヘビー王者マイク・タイソン(米国)や、ミドル級からヘビー級まで制したロイ・ジョーンズ・ジュニア(米国)、近年ではマニー・パッキャオ(フィリピン)、フロイド・メイウェザー(米国)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、サウル・アルバレス(メキシコ)らが1位に君臨した。

日本人では元WBC世界バンタム級王者山中慎介や元WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志もトップ10入りしている。現在はESPNやボクシング専門サイトなども独自のPFPランクを選定する。

ちなみにPFPの発端となったシュガー・レイ・ロビンソン(米国)は、今も多くのボクシング専門家、関係者らがオールタイムでのPFPランキング歴代1位に推している。