新日本プロレスで“名勝負数え歌”を繰り広げた藤波辰爾(68)と長州力(70)の2人が、今月1日に心不全のため、79歳で死去した元プロレスラーのアントニオ猪木さんとの思い出を語った。

日本プロレス殿堂会が主宰する「レガシー」の第2回大会が10日、東京・後楽園ホールで行われ、大会前にトークショーを開催。師匠の猪木さんや入院中の盟友、天龍源一郎への思いなど、話に花が咲いた。

改めて猪木さんの訃報に接した時のことについて問われると、藤波は「頭が真っ白になった」、長州は「たまたまニュースで…」と話した。だが、藤波は「大丈夫ですよ。今日は泣きませんから。この数日間、本当に何十年ぶりかに涙を流しましたけど、どこかで切り替えないとと思っています」と気丈に振る舞った。

今月2日に猪木さんの自宅へ弔問に訪れた際には、猪木さんの頭をなでたという。日本プロレス時代に風呂場で背中や頭を洗って以来約50年ぶりのことだったと明かし、「その時は猪木さんに涙がかかっちゃいかんと…。すごい1日でしたね」と思い出を語った。

長州は、猪木さんの遺体と対面した際には、「起き上がってくるんじゃないか」と信じられなかったという。そして「線香を最後にあげるときに手が震えてね、火がつかなかった。初めてだよ」と、胸がいっぱいになったことを明かした。

同殿堂会は20年にプロレスの歴史を後世に伝承するための中立組織として設立。21年9月に第1回大会を開催した際は、猪木さん、藤波、長州が殿堂入りも、猪木さんは退院直後だったため参加できなかった。藤波は「昨年の第1回。本来会場に来てもらいたいと希望していたんですけど、前回セレモニーをやれてよかったです」と振り返った。

頸髄(けいずい)損傷で入院中の天龍へは「今日も天龍さんがいないのはさみしい。早く元気になって退院してほしい」、とエールを送っていた。

約15分間行われたトークショーの最後は、藤波が「力道山先生が亡くなってから猪木さんも馬場さんも同じ気持ちでプロレス界を作ってくれた。これからの選手も頑張ってくれる」。長州が「俺の中では昭和の時代は全て終わった。俺は何も思い残すことはない」と前向きに話して、締めくくった。