ボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が同級で史上初の4団体統一を狙う。

12月13日、東京・有明アリーナでWBO世界同級王者ポール・バトラー(33=英国)と日本人初の4団体王座統一戦に臨むと13日、発表された。同日に横浜市内で記者会見した井上は4本の世界ベルトを懸けたバトラーとの統一戦をバンタム級の「最終章」「締め」と表現し、約4年7カ月という同級の集大成に設定した。

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ダブルのスーツを着用した井上の表情はいつも以上に引き締まっていた。ついにWBO王者バトラーと拳を交える4団体統一戦が実現。「位置付けはバンタム級の最終章と(来年以降の)スーパーバンタム級へのスタート。あくまで通過点として、先のキャリアに向けての1戦。バンタム級での締め」と同級の集大成としての意識を高めた。

18年5月、ジェイミー・マクドネル(英国)の保持したWBA正規王座を1回TKO勝ちで奪ってから4年半近くが経過。「バンタム級に上げてからすごく充実した戦いができた。道のりを長いなとは思わず、本当に充実した日々で、この日を迎えることができた」と充実感を漂わせた。

19年5月にIBF王座を獲得したエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦は2回TKOで撃破、今年6月にWBC王座を獲得したノニト・ドネア(フィリピン)戦も2回TKO勝ち。WBAスーパー王座を統一した19年11月のドネア戦を除けば、ベルト奪取時はオールKO勝ち。所属ジムの大橋秀行会長は「KOで勝てば4戦パーフェクト。今は期待しかない」とタイトル獲得試合4戦全KO勝ちを予告した。

大橋会長の言葉を受け、井上も「バトラーと判定を考えていない。必然的に」とKO勝ちになる展開をイメージした。王座決定戦ではなく、すべて世界王者からベルトを奪って日本人初の3階級制覇を達成。4本目もWBO王者のベルトを狙う。日本人初、アジア初、バンタム級史上初…多くの「記録」がかかる4団体王座統一戦となるものの、「モンスター」ならば、すべてを成し遂げる強さとムードが漂っている。

4団体統一戦後は即座にスーパーバンタム級に転向する可能性が高い。大橋会長は「(次は)防衛戦をするかもしれないし、一気に上げて4階級制覇を可能性がある」と明言。井上は「よっぽどのビッグマッチがない限り(スーパーバンタム級に)上げようと。普通の防衛戦ならやらない」とキッパリ。バンタム級の集大成=4団体統一だけに集中している。【藤中栄二】