打ち合い上等!! 豪快な打撃で女子格闘技界に新風を吹かせてきた仲良しコンビがいる。
宮城県村田町出身で、シュートボクシング(SB)日本女子ライト級初代王者の未奈(33)は、仙台市内に「ALMA FIGHT GYM SHUKO」を今月オープン。SB、総合格闘技RIZINの看板ファイターで親交のあるRENA(31)がこのほど、未奈の門出を祝うため杜(もり)の都を訪れ、新ジムで2人の対談が実現した。【山田愛斗】
【女子格闘家仲良しコンビ対談】
シュートボクシング
打ち合い大好き女子だ。ボクシング元統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソンに憧れ「フルボッコ」を信条にリングに上がる未奈は、大学2年でダイエットを目的に格闘技をスタート。一方、RENAは4姉妹の末っ子で、姉妹げんかを機に「いつかお姉ちゃんをしばいたる」。絶対に負けないという強い覚悟から小学6年でSBのジムに入門。お互いにアグレッシブなファイトスタイルを貫いてきた。
未奈 真面目に言うとRENAちゃんは「スターだな」と思います。大事なところで必ず勝つし、KOする。みんながRENAちゃんに期待していることを体現してくれる。例えば「KOする」と口で言うのは簡単だけど、それをできる女子選手はいないですし、総合(格闘技)でも打撃で倒すし、打撃で圧倒する。なかなかできないことですよね。
RENA 未奈ちゃんと言うと「フルボッコ」という感じで、ガンガン行くなと。性格と一緒で豪快ですね(笑い)。
2人の距離が縮まったのはテレビ収録だという。2012年、TBS系の「炎の体育会TV」で女子格闘家がタレント今田耕司と対戦する企画があった。未奈はけがのRENAに代わって出場。それまでは関わりがなかったものの、スタジオで顔を合わせたのをきっかけに、試合会場で会話をしたり、食事に行く仲になった。
未奈 今はお互いに気を使わない関係ですね。RENAちゃんは見た目は女の子だけど、中身は豪快。試合内容を見ていれば、みんな分かるか(笑い)。飲みっぷりもいいし(笑い)。
RENA 未奈ちゃんはすごく(酒を)飲むし、お互いに男友だちみたいな感覚ですね。さばさばしているし、気を使わないというか、それが一番大きいですね。
未奈 RENAちゃんがRIZINに出るときは試合の応援も行くけど、終わった後のご飯が楽しみで。だから「頑張って勝ってね」みたいな(笑い)。
RENA 負けても一応行くには行くんですけど、おいしいお酒が飲めなくなってしまうので、勝たなくてはというのはありますね。
2人のホームリングであるSBは、シーザー武志(現SB会長)によって1985年に創設された日本発祥の「立ち技総合格闘技」だ。「サムライは立って闘う」という精神のもと、パンチ、キック、立った状態での関節技、投げ技で雌雄を決する。競技の魅力についてこう語る。
未奈 総合(格闘技)の選手とかも出てきやすいですし、打撃でダウンを奪っているのに投げられて負けるとか、顔がボコボコなのに投げまくって勝つこともあるし、そういった部分は面白いですね。
RENA 夢の戦いというか、打撃だけの選手もいれば、投げるだけの選手、トータルでできる選手もいる。総合(格闘技)対キック(ボクシング)、SB対総合とか、いろんなルールに細かくなくできるというか、平等に戦えるのがSBなので。総合の選手がキックに出ても、あまり勝てないと思うんですよ。そういう面を考えると、総合の選手もキックボクサーも平等に夢の戦いができると思います。
環境
SBが09年に真夏の祭典として「Girls S-cup」をスタートした当時は、女子格闘技への注目度は決して高くなかった。しかし、現在はRIZINで女子のトーナメントが開催され、RENAがメインイベントで試合をするなど環境は変わってきた。
RENA 私がデビューしたときは本当に誰もいなかったので、そう思うと女子選手が増え、興行もしてもらえるようになり、「ただの『イロモノ』として見られることがなくなったな」と最近は思いますね。
未奈 女子格闘技はそんなに(メディアに)取り上げてもらえることはなかったですし、SBを盛り上げたのは間違いなくRENAちゃんだと思います。
15年大みそかのRIZINで、RENAは総合格闘技デビューを果たす。飛びつき腕十字で衝撃の一本勝ち。シュートボクサー、総合格闘家の二刀流選手となった。
RENA 最初はRIZIN出場に「NO」でした。MMA(総合格闘技)だったので、それは「NO」だったんですが、でも「1回は出たいな」という気持ちもあって。「だけど」とは思ったんですが、流れで出ることになってしまい、やるしかないなと(笑い)。「1回だけ」と思って出たら、いい勝ち方ができて、周りから「やめられないぞ、これは」みたいな空気が漂い、今は(総合格闘技で)15戦以上戦っています。おかしいですよね(笑い)。
そもそも2人はプロ格闘家を目指していたわけではない。
未奈 勝つと楽しいし、これはやった人にしか分からない感覚ですね。勝つと死ぬほどうれしいけど、負けると死ぬほど悔しいんですよ。
RENA (続けた理由は)楽しいからじゃないですかね。勝ったら勝ったで調子が良くなっちゃうし、負けたら、「これじゃ終われん」となりますね。
地方
未奈のように地方が拠点のプロ格闘家は少数派で、東京や関東で活動する選手が多いのが現状だ。だが、地方からでもトップを目指せるとみる。
未奈 全く環境は関係ないし、元々、RENAちゃんも大阪にいたので、どこにいても強くなれると思います。ただ、スパーリングパートナーがいない、いつも空いているジムが少ないという点だと、東京とか関東の方がいいかもしれないですけど、ジムがあって、サンドバッグがあって、人もいてというのは、どこも変わらないじゃないですか。だから「関東に行ったら強くなれる」と考えている人は嫌いです(笑い)。
RENA 何でもある東京がうらやましいという気持ちが、地方の選手は絶対にあると思うので、そこにひがむのではなく、ハングリー精神を持ってやれるかが、強くなるためには重要だなと思います。
ファイター、ジム代表の二足のわらじを履く未奈は「一番」にこだわる。
未奈 目標はずっと変わらず、一番強くありたいです。「これからどうなりたい」というよりも、絶対に負けたくない。次にどんな相手が来るか分からないですけど、誰よりも強くありたい。代表としては「格闘技と言えばここ」みたいな、一番有名なジムにしたいですね。格闘技をやっている子も、やっていない子も「あそこに格闘技のジムがあるよね。分かる分かる」ぐらいまでいきたいです。
RENAは約2カ月後に迫るRIZINの大みそか大会出場、一本負けを喫した19年6月以来となる米総合格闘技団体ベラトールへの再挑戦も視野に入れる。
RENA 今年はもう1試合したいという気持ちはあります。あと、もう1回ベラトールは出場したいなとは思います。前回はのまれてしまった感がすごくあったので、やっぱり本場での試合は楽しいし、アメリカでもう1回戦いたいです。
フルボッコ、絶対負けない-。「女子格」を代表する2人のヒロインは、豪快な打撃戦を繰り広げ、勝ち名乗りを受ける日を、今か今かと待っている。
◆未奈(みな)本名・桜井未奈(さくらい・みな)。1989年(平元)6月9日生まれ、宮城県村田町出身。20歳で格闘技を始め、21歳でプロデビュー。SB、キックボクシング戦績は24戦16勝(5KO)8敗。総合格闘技戦績は1戦1勝(1KO)。SB日本女子ライト級(63キロ以下)初代王者。所属は秀晃道場。好きな選手はボクシング元統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソン。愛称は「ミナタイソン」。168センチ。血液型O。
◆RENA(れーな)本名・久保田玲奈(くぼた・れな)。1991年(平3)6月29日生まれ、大阪市出身。12歳で格闘技を始め、16歳でプロデビュー。SB、キックボクシング戦績は41戦35勝(11KO)5敗1分け。総合格闘技戦績は18戦13勝(7KO、一本勝ち2)5敗。SB世界女子フライ級(51キロ以下)王者。17年RIZIN女子スーパーアトム級(49キロ以下)トーナメント準優勝。所属はシーザージム。愛称は「絶対女王」「ツヨカワクイーン」。160センチ。血液型A。
▼RENAも新ジム入会をオススメする。宮城県の格闘技の活性化を目指す「ALMA FIGHT GYM SHUKO」は新規会員を募集中。仙台の中心部からほど近い場所にあり、総合格闘技、ブラジリアン柔術、キックボクシング、SBの指導を受けられる。「中が見えないところは怖いかもしれませんが、ここはガラス張りで、どんなことをやっているのかが見えるジムなので、気になったら、のぞきに来てもらえると楽しさが分かると思います」とPRする。
格闘技はダイエットや運動不足解消にもってこいだ。レディース・キッズクラスもあり「最近、モデルさんとかで(キックボクシングなど)立ち技のダイエット法がはやっていますし、軽い気持ちで足を運んでいただけたら」。またRENA自身もジム創設に意欲的で「現役中に開きたい思いはあります」と話した。
住所は仙台市若林区連坊2の1の65、連坊ビル1階。

