ボクシングの22年度年間表彰選手が8日に発表され、前4団体統一バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が5年連続6度目の最優秀選手賞(MVP)に選ばれた。同日に都内で選考会が開かれ、各賞が決定。通算6度目MVP受賞は白井義男、具志堅用高を超え、最多記録となった。5年連続MVPは白井、具志堅と並ぶ最多タイ記録。またKO賞も3年連続6度目の受賞で2冠に輝いた。

ついに「レジェンド超え」を果たした。白井、具志堅という伝説ボクサーと並んでいた受賞回数を超える6度目のMVP。5年連続も白井、具志堅と並ぶ最多タイで、平成以降となるとMVPの5年連続、6度目受賞はいずれも最多だ。昨年は2試合ともに王座統一戦。昨年6月のドネア(フィリピン)戦は2回TKOで圧勝、同12月のバトラー(英国)戦は守備的な相手を11回KOで倒し切り、KO賞とのダブル受賞となった。

井上は「昨年は3団体統一戦、4団体統一戦と例年にも増して非常に濃密な1年でした。その上で最高の結果を出せたこと、自分自身も満足しております」と所属ジムを通じて喜びを表現。今年1月にはバンタム級全王座を返上し、スーパーバンタム級への転向を表明し「2023年は新たな階級での『挑戦』となります」と世界4階級制覇への意気込みを示した。

史上9人目、日本初、アジア初、バンタム級初の4団体統一に成功していた余韻に浸ることなく、井上のスーパーバンタム級転向初戦の交渉は大詰めを迎えている。先月には米スポーツ局ESPNが、5月開催を目標に日本でWBC、WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(米国)への挑戦が合意したと報じられた。井上自らも陣営が対戦交渉していることを認めている。内定間近となる無敗の2団体統一王者への挑戦も想定しながら「ファンの方がヒリヒリ、わくわくするようなボクシングをお見せできるよう、より一層、精進してまいります」と決意を新た。世界初の2階級での4団体統一を目指し、歩みを始める。【藤中栄二】