プロボクシング前4団体統一バンタム級王者の井上尚弥(29=大橋)が拳を負傷し、5月7日に横浜アリーナで予定されていたWBC、WBO世界スーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン(28=米国)への挑戦が延期になったことが22日、発表された。所属ジムの大橋秀行会長(58)が同日、横浜市で記者会見し、井上の負傷とフルトン戦延期の経緯を明かした。

今年1月に4団体のバンタム級ベルトをすべて返上した井上は、スーパーバンタム級転向を正式表明。WBC、WBOで同級1位にランキングされ、今月6日にはWBC、WBO世界同級王者フルトンへの挑戦が正式発表された。同じ6日夕方、メキシコから呼んだWBC世界フェザー級23位ブライアン・アコスタ、セサール・バカ・エスビノーザの練習パートナー2人とスパーリングを開始したが、同9日、16日に行ったスパーリングで拳を痛めてしまったという。

精密検査の結果、骨に異常はなかったものの、腱(けん)に炎症などがみられた。井上本人は強行出場を希望していたものの、担当医から5月7日までの回復は難しいとストップがかかった。大橋会長は「本人も『やります、大丈夫です』と言っていましたが、(拳が)使えない状況なので。私の判断で延期としました。難しい判断ですが、延期となりました」と説明した。

既にフルトン陣営には井上の負傷について事情を説明済みで、今夏の延期で合意に達しているという。リセットされることになった井上の統一王者フルトン挑戦は、7月の首都圏開催を目指し、あらためて交渉が続けられることになった。