ボクシング前4団体統一バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が拳を負傷し、5月7日に横浜アリーナで予定されていたWBC、WBO世界スーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン(28=米国)への挑戦が延期になった。

22日、所属ジムの大橋秀行会長(58)が横浜市内で会見し発表した。9、16日に所属ジムで行ったメキシコ人パートナーとのスパーリングで拳を痛めた。回復までに約1カ月程度かかる見通しだという。

検査では骨に異常はなく、腱(けん)の炎症がみられたという。井上は強行を希望したが、同会長は「拳が使えない状況。(スーパーバンタム級初戦で)いつもよりパンチを強振し、強いパンチを打っていたので。難しい判断だが、尚弥と(尚弥の父)真吾トレーナーと協議し、私の判断で延期とした」と説明した。

フルトン陣営には先週末から事情を説明し、21日までに延期で合意した。7月の首都圏開催を目指し、詳細な交渉が続けられる。井上は所属ジムを通じコメントを発表。フルトンや同陣営、関係者、ファンに向けて延期を謝罪した上で「フルトン陣営に感謝いたします。開催予定の7月に向けて、万全の状態でリングに上がるため、まずはけがの回復に努めたい」とした。

米国でも人気の無敗の統一王者フルトンへの挑戦は、世界でも大きな注目を集め、欧米を中心に生中継が次々と決まっていた。井上は「熱い試合をお見せできるよう準備をしていきますので、その時を楽しみに」と力強く復活することを約束した。【藤中栄二】