プロボクシングの試合を管理・統括する日本ボクシングコミッション(JBC)は19日、都内で行われた理事会で、男性ボクサーとして復帰を目指している元WBC世界女子フライ級王者真道ゴー(35=グリーンツダ)に対し、トランス男子ルールに基づく特別ライセンスを発行して、スパーリングによる準公式戦出場を認める判断をした。一方で真道が希望していたプロテスト受験は見送った。

トランスジェンダーに関する専門家や研究者、医師などで構成される諮問委員会の答申は、真道の体力測定のデータや女子ボクシングでの実績を踏まえて「プロテスト受験資格をテストケースとして認めることは十分可能」と判断した。

これに対して選手の健康管理を最優先に考えるJBCは「男女の性差の明確なエビデンス、安全の担保されるデータの蓄積、経験が足りていない」などを理由に、プロテスト受験を見送る決定をした。

「打撃を与えて勝敗を競うのがボクシングの特性。健康管理を最優先に考えた場合、プロテストの先には試合がある。そこまで考えると踏み込めなかった」と理事会後に安河内剛本部事務局長は理由を説明した。

性同一性障害に悩んできた真道は17年10月に現役引退。性別適合手術を受けて、戸籍も男性に変えた。21年5月に所属ジムの本石会長に男性ボクサーとしての復帰を直訴し、昨年からプロテスト受験を希望していた。今回その願いはかなわなかったが、JBCは真道に特化した特別ルールを策定した。

トランス男子を「出生時の性別が女で、男としての性自認を対外的に宣言した男子」と定義した上で、健康診断や血液検査をクリアすれば特別ライセンスを発行し、公式試合会場でのスパーリング形式の準公式試合への出場を認める。

「レフェリーとジャッジがいて、勝敗も決めるので公式試合に近いラウンド数が短い。レフェリーが早めにストップするので、公式試合より危険性は少ない」(安河内本部事務局長)。

準公式試合を続けていけばプロテストへの道が開ける可能性もあるという。「プロテストの可能性は残されている。その可能性を残すための措置」と安河内本部事務局長。実際に米国ではトランス男子、同女子の試合が行われた実績も数例あるという。【首藤正徳】