プロボクシング女子の世界3団体でミニマム級王者になった多田悦子(42=真正)が21日、神戸市の真正ジムで引退会見を開き、すがすがしい表情で現役に別れを告げた。

多田は、日本ボクシングコミッションが08年に女子のプロを公認した際にプロ転向。18度の世界戦を含むプロ通算27戦20勝(7KO)4敗3分けの成績を残し、先駆者として道を切り開いてきた。

ボクシングの本場・米国から統一戦のオファーもあったが、21年10月、韓国で行われたティ・トゥ・ニ・グエン(ベトナム)とのWBO世界ミニマム級王座の防衛戦に判定で敗れた。これまでも豊富なトレーニングで技術を磨いてきたが「韓国の試合が悔しくて、もう1度とトレーニングしてきたが、フィジカルがあまりにもキツすぎて『この練習には耐えられない』と明確に思った。最後、アメリカでやりたかったが、中途半端はいけない。やりきった。すがすがしい感覚です」と引退を決断した経緯を説明。

「ボクサーで本当に良かったと思っています。イエイって感じです。こんな気持ちでリング降りれるのは幸せ」と満足感をにじませた。

現在は神戸市内にボクシングジム「LOVE WIN」を開設。今後は「ボクサーは蹴落としていかないとダメだけど、その逆をしたい」と、福祉関係に向けボクシングのトレーニングを応用した脳機能トレーニングを行っていくという。

もちろん、ボクシングの後進への協力も惜しまない。山下会長から「世界戦と普通のリングは精神面が全然違う。戦ったものしか分からない精神面があるので、力になってもらいたい」と請われると、「なります!」と即答。最後は山下会長から花束を贈られ、満面の笑みを浮かべた。【阪口孝志】