ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が「調整中」の5月6日、東京ドームでのWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)戦について初言及した。

29日、都内でWOWOWエキサイトマッチSPの収録に参加。東京ドーム開催方向を「最大のモチベーション」と表現し、満員の観客の前で戦うことを期待した。また山中慎介戦で薬物違反したネリに対し、対戦決定した場合には厳密な検査を要望すると明かした。

   ◇   ◇   ◇

誰よりも井上自身が東京ドーム開催を望んでいる。所属ジムの大橋秀行会長(58)が「調整中」と認めた5月6日、東京ドームでのネリ戦。実現すればマイク・タイソンが90年に世界戦を行って以来、約34年ぶりのボクシング興行となる。

「そこが最大のモチベーション。でかい会場でやれることをうれしく思いながらやっていきたい。ボクサーで東京ドームでやれるならモチベーションです」

決定すればボクシングでは日本人初のメインイベンターだ。座席セッティング次第だが、5万人以上が収容可能。井上は「満員にできるかどうか。もちろん対戦相手へのモチベーションも高いですけど、そこもモチベーションの1つになっている」と意欲満々だ。

次期挑戦者に濃厚なネリは18年3月の山中戦で体重超過し王座を剥奪。17年8月の山中戦ではドーピング検査で陽性反応を示した。19年にも体重超過したネリに対し、当時の井上は「どうしようもねえな」などとSNSで苦言を呈した経緯もある。現在は日本ボクシングコミッション(JBC)から無期限の国内活動停止処分を受ける立場のネリだが、JBC規定改正で再申請が可能となっている。

井上は「順を追って指名(挑戦者)となった。挑戦者決定戦もこなした。日本の過去の因縁を持ち込んで自分は試合しようと思っていない。自分対ネリの戦い」と率直な心境を口にした。ただ、ネリらが山中戦時の問題について発言した場合は「山中さんを応援していた方々の気持ちを持って臨みたい。向こうの出方次第」との意向を示した。

ネリ戦決定の場合には減量状況のチェックとともに薬物検査も徹底するつもりだという。井上は「抜き打ちで。今回に関しては『厳格に』と会長と話しているし、求めたい。週1回ぐらいでもいい。自分は全然、大丈夫」。継続性のある検査実施を求め、ルール通りに勝負する姿勢を示した。【藤中栄二】

<井上の一問一答>

-タパレス戦を見て感想は

井上 (試合と同じ)イメージ通りの戦いでした。

-フルトン戦とタパレス戦の内容は、どちらが良い

井上 総合的に見たらフルトン戦かなと。

-また4本のベルトを手に

井上 次は4本のベルトを持って防衛戦ができる。やってきたことが形になって非常にうれしく思う。

-試合1カ月後でも顔が丸くなくシャープ

井上 減量がきついと反動も大きい。スーパーフライ、バンタムあたりだと試合後、体重が少し増えるが、今は体重が増えない。

-6月の全米ボクシング記者協会の年間MVP表彰式に出席するか

井上 日程が合えば。(ドジャース大谷翔平投手のような)英語のスピーチは考えていないですね、日本語で(笑い)。