WBA世界バンタム級2位堤聖也(28=角海老宝石)が世界初挑戦で悲願の王座を奪った。同級王者井上拓真(28=大橋)に3-0で判定勝ちした。12年前となる12年8月3日のインターハイで対戦しながらも判定負け。プロ転向した理由の1つだった井上へのリベンジを4454日ぶりの再戦で達成し、念願の世界ベルトを獲得した。
「この日のこの瞬間のためにずっとやってきた。本当に信じられない気持ち。報われました」
まさに死闘だった。最初から最後まで速射砲のようなパンチを繰り出す。井上拓の右ストレートを食らっても、ひるまず前へ前へ出た。10回には左でダウンも奪取。世界の頂点への執念で、最後までスタミナが落ちることはなかった。
堤にとって九州学院高2年の12年前から「ずっと胸に残っているしこり」のような存在が井上だった。進学した平成国際大でボクシングを続けたが「アマチュアで辞めるつもりだった」と振り返る。黄金世代といわれる井上ら同じ95年世代がプロでタイトル奪取する姿を見て気持ちが高ぶったという。
「プロをやらないで、どうなってたんだろうと言いながら酒を飲んで、居酒屋でテレビ見ながらその選手見て、俺コイツとやってんだよ、みたいな大人になりたくなかった。自分がどこまでいけるかやりたくなった」。
アマ時代の最高成績は大学1年時の国体準優勝で、3位が6度。優勝は1度もない。18年にプロデビューした堤は「1番になっていないっていう劣等感が学生の時からある。同世代はみんな強いし、それは原動力となっています」と強調する。戦績は無敗も順風ではなかった。5連勝の後に2連続ドロー。その後、コロナ禍で1年8カ月も試合ができなかった。アルバイトを掛け持ちして食いつないだ。
昨年12月の日本バンタム級王座4度目の防衛戦では、挑戦者の穴口一輝選手が試合後に意識を失い、手術を受けた後に亡くなる悲劇も起きた。堤は「穴口選手だけじゃなく、自分の試合で引退した選手への思いは常にある」と対戦してきた選手の気持ちも背負ってリングに立っていた。
悲願だった井上との再戦は「世界一」を懸けた大舞台だった。「(雪辱をはらす思いは)プロになるきっかけだった。今は澄んだ気持ちで、ただ井上拓真という強い選手と戦えるのがシンプルに楽しみ」。12年かけて到達したリベンジマッチのリングで、堤がついに世界ベルトをつかんだ。
<ラウンドVTR>
◆第1R スイッチボクサーの堤は井上と同じ右構えでスタート。序盤は慎重に両者とも左ジャブを突き合う。中盤に井上の右アッパー、飛び込んでの左フックが決まる。2分すぎに堤も右ボディーブローをたたきつける。井上も強烈な左フックを決める。ほぼ互角もやや井上か
【日刊採点】井上10-9
◆第2R 井上の左フックが先制打。堤も左フックを返し、ボディーブローも決める。30秒すぎに堤が打って出たところに井上の左フックが決まる。1分50秒すぎにも同じパターンで井上の左フックが決まる。堤もスイッチしながらパンチを繰り出すが井上は落ちついてかわす。終盤に堤がショートフックを決めて前に出る。依然としてペースの奪い合い。パンチの的中率で井上か
【日刊採点】井上10-9
◆第3R 開始から堤が前に出てプレッシャーをかける。井上は足を滑らせてスリップ。30秒すぎに井上のワンツーが浅く決まる。1分すぎに堤の左右ボディーブローが決まる。中盤は堤が果敢にパンチを繰り出して、井上をロープにつめて連打も、井上のアッパーがカウンターで決まり、堤が後退。終盤も堤がロープにつめてラッシュも井上は冷静にクリンチ。
【日刊採点】井上10-9
◆第4R 堤が開始から左ジャブを突いて前に出るが、井上の右クロスがカウンターで決まる。40秒すぎから堤がラッシュも井上がたくみにかわす。1分10秒すぎに堤の右ストレートが井上の顔面にカウンターでクリーンヒット。2分すぎに堤が井上をコーナーにつめて連打。井上はカウンターを狙う。
【日刊採点】堤10-9
◆第5R 開始から堤がラッシュ。井上も打ち返して激しい打ち合いに。30秒すぎに堤の右フックがカウンターで井上に顔面をとらえる。1分すぎに堤の右ボディーブローがクリーンヒット。堤が果敢に攻める。井上の右がカウンターに。2分すぎから井上が距離を取って左ジャブ。堤は前進してボディーブローからの連打で井上をロープに釘付けにする。
【日刊採点】堤10-9
◆第6R 井上が足を使って左ジャブを突く。堤が果敢に前に出てパンチを振り回す。20秒すぎから堤が井上をロープにつめて連打もクリーンヒットはなし。1分すぎに堤の左フックが井上の顔面にカウンターでヒット。井上がロープに下がる。堤は手を止めずにパンチを繰り出す。終盤は強打の相打ちもともに譲らず。
【日刊採点】堤10-9
◆第7R 序盤からリング中央でパンチの打ち合いに。井上はすかさず左ジャブを突いて距離をとる。1分すぎに井上が右ショートアッパーの連打。左フック、右ストレートもカウンターでヒット。堤はかまわず前に出てパンチを繰り出す。2分すぎに井上の右が再びカウンターでヒット。終盤は接近戦で堤が攻勢
【日刊採点】井上10-9
◆第8R 開始ゴングと同時に堤が前に出てラッシュ。井上はロープを背負って防戦。井上もボディーブローを返すが、堤の勢いは衰えず。50秒すぎに堤みの左フックで井上が後退。中盤は井上が左ジャブを突いて距離をとる。2分すぎに堤が左ボディーブローから再び連打。井上も右をカウンターで決めるが、逆に堤が左強打で圧倒。
【日刊採点】堤10-9
◆第9R 開始から堤が打ち合いに出る。井上も前に出て応戦。リング中央で激しい打撃戦に。1分すぎに今度は井上が前に出て打ち合いに。堤も連打で応戦。堤の左フックが浅く決まるが、井上の右のカウンターを返す。終盤に再び井上の右ストレートがカウンターで決まる。
【日刊採点】井上10-9
◆第10R 開始から堤がボディーを狙って連打。井上の右と左アッパーがカウンターに。20秒すぎにパンチの打ち合いから井上がダウン。井上はダウンしていないとアピールしながら立ち上がる。再開後に堤がラッシュ。連打が止まらない。井上は防戦、防戦。堤のボディーブローが有効で井上の動きが鈍る。
【日刊採点】堤10-8
◆第11R 開始と同時に堤がラッシュ。井上も迎え撃つ。リング中央での打撃戦に。1分すぎに井上が気迫で前に出て攻める。堤はボディーブローを返す。中盤に堤が左目尻をカットしてドクターチェック。再開後もへが強い打ち合いに。長い互角の打ち合いが続く。
【日刊採点】井上10-9
◆第12R 開始から堤がラッシュ。井上も打ち返す。堤はボディーを徹底して狙う。激しい打撃戦で堤のグローブのテーピングがほどける。再開後も接近しての打撃戦。中盤も両者ゆずらず打ち合い。残り1分から堤のパンチが次々とヒット。井上はロープを背負って防戦一方。勝負は判定にもつれ込み
【日刊採点】堤10-9

