中学の部活動の地域移行の流れに沿って発足した新潟県の「燕市未来いきいき地域クラブ」に同市のキックボクシングジム、「SPORTSDOJO KAGAYAKI」が参加している。これまで部活動にないスポーツに取り組めることで、地域の子どもに種目の選択肢を示し、競技人口の拡大も図っている。
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KAGAYAKIが未来いきいき地域クラブに参加したのは昨年9月の2期から。同ジム内で、ジムに加入している練習生とは別に月2回、土、日に活動を行っている。
伊達皇輝代表(49)は「楽しんでもらうのが目的。メニューはシャドー、ミット打ちなど基本的なものです」と言う。初めての生徒がいつでも参加できるように内容は毎回同じ。現在参加しているのは数人ほどだが、中にはほぼ毎回通う生徒もいるという。「いきなり部活以外の運動を始めようといっても難しい。徐々に浸透していけばいいのでは」。9月から始まる第3期も参加することを決めている。
現役時代はマーシャルアーツのウエルター級で日本王座、亜細亜統一格闘技協会の同級王座に就いた県内格闘技界のレジェンド的存在。もともとキックボクシングを身近なものにしたいという思いは強かった。「怖いイメージがあるかもしれないけど、楽しんで体を動かせる要素がたくさんある。まず子どもたちにはそれを感じてほしい」。07年のジム創設当初から燕市に中学の部活としての採用を提案をしていた。コロナ禍前までは市の運動指導員を8年間務め、女性や親子対象の教室を行った。現在は県内の小学校、20校ほどから依頼を受けて出張指導もしている。
今回、行政の運営で中学生への指導の機会ができたことを「競技人口拡大のチャンスだと思っています」と言う。危険な印象は否めない。ジムに入門するハードルの高さもある。「興味があればジムに入門しなくてもできる。行政の運営の一貫でなので、安心感もあるでしょう」。
子どもに教える時、強調するのは暴力の手段としてキックボクシングをしないこと。「『暴力として使わないことを約束できる人にだけ教えます』と最初に言います。格闘技はお互いを認め合って成立するものですから」。未来いきいき地域クラブの活動は、競技のマイナスイメージを拭い去る場として有効と捉える。
9月からは月4回の開催になる。「キックボクシングだけでなく、この地域にはいろいろなスポーツが身近にあることを知ってもらえれば」。伊達代表は活動が地域のスポーツの底上げになることも期待している。【斎藤慎一郎】
◆伊達皇輝(だて・こうき)1975年(昭50)10月14日生まれ、弥彦村出身。18歳からキックボクシングを始める。97年、マーシャルアーツの日本ウエルター級王座を獲得。00年には亜細亜統一格闘技協会同級王者に。01年に引退後、07年にキックボクシングジム「SPORTS DOJO KAGAYAKI」を創設。現役時代の戦績は18勝(10KO)3敗。
◆燕市未来いきいき地域クラブ 文部科学省が示す中学校の休日の部活動の段階的な地域移行に伴う施策。燕市教育委員会が運営に関与し、参加クラブは行政に登録する。部活のない週末に、生徒が好きな競技を選んで参加できる。参加は有料。1回ごとに異なる競技を選択することも可能。23年7月の1期で陸上、バレーボール、バスケットボール、バドミントンで土、日曜日のうち月1回の活動として始まり、24年9月の2期から全スポーツが対象の月2回に拡大。今年9月の3期からは文化部も対象になり、全ての土、日曜日で活動可能になる予定。

