打撃格闘技のKNOCK OUTは12日に東京・後楽園ホールで「KNOCK OUT58」を開催する。
同大会で行われるWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦3分5回で壱・センチャイジム(28=センチャイムエタイジム)が繁那(21=R.S-GYM)と対戦する。6月の森岡悠樹戦でKNOCK OUT-RED同級王座を失ったものの、再起戦で新たなタイトルのチャンスを得た壱。どのような気持ちで臨むのか。
-まず6月の森岡悠樹戦を振り返ると
「結局、フタを開けてみれば自分のしたいことはできずに、相手の土俵に付き合っちゃって。それって、会長もトレーナーのキックさんも、周りがみんな最初から言っていたことだったんですよ。『お前はどうせ相手の土俵に付き合うんだろ、そしたら絶対負けるからな』って言われてて。僕も付き合って倒れるのは…という気持ちはあったんですけど、僕はガラスのアゴなのでパンチをもらっちゃって『倒れたら行く』と決めてたので」
-試合後、会長やトレーナーの方の反応はどうだったんですか
「『こいつ、言うこと聞かねえわ』みたいな。でも僕も分かりますよ、指導者の気持ちは。やっぱり自分の言ったことを実行しない選手なんてかわいくないし、あと誰がどう見ても、僕って元はといえばパンチの選手じゃないと思うんですよね。それなのにONEだったり、12月の横浜武道館だったりで、ちょっとパンチで倒せる味を覚えちゃったんですよね。それでパンチ一辺倒の戦い方になって。最初はKOボーナスをもらえたりしていい時期もありましたけど、でもやっぱフタを開けてみると、去年みたいに安定して勝てないんですよ」
-確かに
「僕は去年8連勝したんですけど、それ以降安定して勝ってないんです。パンチ一辺倒になってから、全然安定して勝ってなくて。KOする数も増えましたけど、安定して勝ってないっていうのがやっぱり結果だと思うので。僕は今年、3週間おきに3試合やってたんですけど、そこからは4カ月間、他の選手にとっては普通だろうけど、僕にとってはすごく長い休暇を経て、自分と見つめ合って考え直したので、それが今回の試合で、結果として出せたらいいなと思っています。会長とコーチには『もう反抗期が終わったよ』というのを、試合でお見せしたいなと思ってます」
-今回はWBCムエタイ日本王座決定戦ですが、改めて決まると、今までWBCムエタイに縁がなかったのはちょっと不思議な感じがしますよね
「そうですね。まあいろいろあるんですけど、簡単に言ってしまえば縁がなかったですよね。正直言うと、僕は6月の試合の後、山口さん(KNOCK OUT山口元気代表)とも話して半年休む予定だったんですよ」
-そうなんですね
「でも、山口さんから『WBCムエタイの試合をするとしたら、壱君にオファーをかけようと思ってるけどどうする?』って言われた時に、WBCムエタイならやりたいと思って、ちょっと早めですけど、再起戦の決断をしました」
-WBCムエタイは何が魅力ですか
「僕は“世界チャンピオン”という称号にすごく魅力を感じてて。KNOCK OUTのベルトもメチャクチャ豪華でレベル高いですし、僕はKNOCK OUTのベルトに一番魅力を感じてるんですけど、僕は引退までに世界と名のつくベルトに挑戦したいなと思っていて。だからWBCムエタイやISKA、ONEみたいに世界の称号は魅力的でしたね」
-なるほど
「そんな中でこのWBCムエタイの話をいただいて、WBCムエタイの日本チャンピオンになれば、世界タイトルにも進んでいけるんだと思って」
-その相手が繁那選手です
「はい。僕は繁那選手のことはONEに出るまで知らなかったんですけど、2回出てるのを見て、いい選手だなと思ってて。年齢を見たらすごく若いし。ただ、当たることはないだろうなと思ってたんですけど、ここで当たるのかと。チェックはしてたけど当たることはないだろうなって、何となく思ってた選手だったので」
-繁那選手のファイトスタイルや攻撃面についてはどんな印象ですか
「僕はメチャメチャいい選手だと思ってます。若いけどすごく落ち着いてるし、自分に自信があるなというのがファイトスタイルから感じるので。そこはすごくいいなと思ってますね。戦績がまだそんなに多くないから、たぶん怖いもの知らずな点はあるんだろうなとは思いますけどね。怖いもの知らずで自信があるのって大事なことなんですけど、その一番最初の壁に僕がなって、勝てたらいいなと思ってます」
-最終的にどう勝つかは流れ次第?
「5Rというのが久しぶりなんですよ。5Rで相手がサウスポーというのは、古村光戦以来なんですよ」
-そのサウスポーと5Rというのは、ストレスが溜まる感じではないんですか
「僕個人的には、サウスポーはあまり得意じゃないんですよ。僕はサウスポーと10戦やってて、6勝4敗なんです。トータルの成績で見るとけっこう苦手なゾーンなんですよ。だからコーチや会長からも『サウスポーということだけは気をつけて』と言ってもらってて。でも逆に5Rは得意なので。僕、試合でスタミナ切れたことないですからね。長く戦うなら僕のペースになるだろうなと思ってます。僕はガラスのアゴなので、そこだけ気をつければ」
-一方で、森岡選手は9月大会でBLACKのベルトも獲りましたよね。あの試合はどう見ましたか
「やっぱり倒されて倒すっていうのは、ちょっと悔しいけど、さすがだなと思って。でも森岡選手もあの戦い方をしてるとたぶん長くは持たないと思うんですよね。絶対に誰かが首を取る日が来ると思うんですよ。だから誰かがその首を取った後に俺が取るんじゃなくて、自分自身が取りたいという気持ちはあるので、やっぱりそこは複雑ですよね。森岡選手が勝つとうれしいし、俺が挑むまで待っててくれという気持ちもあるんですけど、あのスタイルだといつパコーンってやられるか分からないし、不安もありながら…という感じです」
-ちょっと複雑ですね
「僕ももうベルトとは無縁の生活をしばらく送るんだろうなと、何となく思ってた中で、このWBCムエタイの話をいただいたので、僕はWBCムエタイの方でベルトを獲ったり防衛したり、世界タイトル戦をやったりしていきながら、森岡選手に挑戦できる機会を見ていこうかなと思っています。周りの機運、周りの声が高まれば、いつでもやるんですけどね」
-では最後に、今回はどこに一番注目してほしいですか
「僕は今回、倒せるムエタイを見せます。ムエタイってマイナスのイメージというか『ムエタイって倒さないじゃん』とか『首相撲ばっかりじゃん』という声をけっこう聞くんですけど、それは違うと。ムエタイの中で倒すテクニックも技術もあるというのを、今回の大会でお見せできたらいいなと思っています。美しさの中にも、試合になるとどうしても出てくるこの凶暴な僕の一面があって、そこはもう何もしなくても出てくると思うので。そのムエタイの美しさと、壱の凶暴な一面のHarmonyを見せたいなと思います。Harmonyを」

