WBC世界バンタム級2位井上拓真(29=大橋)が注目カードの日本人対決を制した。同級1位那須川天心(27=帝拳)と同級王座決定戦に臨み、3-0の判定勝利。接近戦からの左フック、短距離の右ストレートを駆使し、無敗の格闘家でボクシングを含めて54戦全勝だった那須川にキャリア初の黒星をつけた。24年10月、堤聖也(角海老宝石)に判定負けを喫し、WBA世界同級王座から陥落して以来、約1年1カ月ぶりの再起戦を飾り、3度目の世界王座獲得に成功した。

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井上の周りには父真吾トレーナー、兄尚弥、いとこ浩樹がいた。全員が笑顔でリングの中央に立ち、WBCベルトを掲げた。全員が浩樹デザインの那須川戦用Tシャツを着用。井上からのグータッチを受けて喜びを爆発させた。

今年7月、那須川戦のオファーが届いた時、尚弥は大橋秀行会長(60)に「絶対に勝つからやらせてください」とカード実現を後押しした。10月上旬、神奈川・小田原で約3年ぶりとなる「チーム井上」の野外合宿も敢行。同じ時間帯に設定されるジムワークで練習し、那須川対策も兄弟で向き合いながら細かい助言も伝えた。尚弥は「練習量も練習に対する気合、考え方というものがすごく変わった。これが試合にしっかりと表れる。しっかり良い形でトレーニングを積んだことが必ず試合で出ると思っている」と弟を送り出した。

昨年10月の堤聖也戦で負けた後、真吾氏は「あの時点で拓真は辞める気持ちが強かったし、自分も賛成だった」と振り返った。ここで尚弥が「まだ辞める時ではない」と強く説得した。兄弟の話し合い後、真吾氏は井上に競技に取り組む姿勢から改善するよう強く伝えた。「拓真の完璧な負け。メンタルの甘さ、弱さが出た。本人も分かっている。自分と拓真に温度差があり、自分もイライラしていた。だからいろいろと話した」。24年末まで3回ほど親子で話し合い、現役続行を決めた。

25年に入っても真吾氏は「中途半端のままやるなら辞めた方がいい」と厳しい視線で拓真を指導。那須川戦オファーが到来した時も当初は「やるのは今じゃない」と思ったが、井上の覚悟を確認し「本人のスイッチがハッキリと見えた。気持ちが確認できた。今回は熱量、温度差なく調整できた」。井上家が一丸となり、総力戦でつかんだ那須川撃破だった。【藤中栄二】

【ボクシング】那須川天心が初黒星で世界ならず 井上拓真は3度目の世界王座獲得/ライブ詳細