北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの石井慧(21=国士舘大)が、31日に全柔連に事実上の現役引退を意味する強化指定選手の辞退届を提出することが分かった。30日、関係者が明かした。石井本人と弁護士らが同行し、31日昼すぎに書類を提出。11月3日大阪市内での祝勝会後、プロ表明する。

 石井は北京五輪後、プロ格闘家転身か柔道家としてロンドン五輪を目指すかで悩み、今月中旬にプロ格闘家転身を決意。30日午後までに辞退届にサインすることを決断し、その意向を全柔連側に伝えた。反対していた親族には、辞退届提出後の31日夕方に帰阪して事情を説明する。

 現時点では今後の総合格闘技出場の場は決まっておらず、日本国内、米国を含めあらゆる可能性を探る方針。近い関係者には「とにかく練習をしたい。1年くらいは試合に出なくてもいいと思う。米国などを含め、徹底的に修行をしてもいいと思う」と話しており、万全の態勢でのプロデビューを望んでいる。

 石井自身は辞退届提出に迷いを示し、提出せずにプロ表明という「柔道破門」のリスクも覚悟した行動に出る可能性があったが、周囲の説得もあり、辞退届提出を決断するに至った。清風中時代から親交のある総合格闘家の秋山成勲には契約に縛られることなく、自分のペースで試合がこなせる契約形態を助言された。「プロ格闘家石井慧」はマイペースを貫ける環境でのデビューに向けて動いていくことになる。