仙台市内でタクシー1台を盗んだとして、宮城県警仙台中央署が20日、全日本プロレスや新日本プロレスで活躍しているフリーのプロレスラーNOSAWA論外(本名・野沢一茂)容疑者(34)を窃盗容疑で逮捕した。同日午前2時ごろ、酒に酔ってタクシーに乗車し、運転手が車外に出たすきに盗んだ疑い。同容疑者は容疑を否認している。同容疑者は同日夕方に同市内で行われた新日本プロレスの試合に出場予定だったが、欠場となった。

 逮捕容疑は20日午前2時ごろ、仙台市青葉区のJR仙台駅前の路上で、タクシーを盗んだ疑い。野沢容疑者は、仙台中央署の調べに「運転はしたが、タクシーを盗んではいない」と容疑を否認しているという。

 仙台中央署によると、野沢容疑者は20日開催の新日本プロレス「The

 New

 Beginning」仙台サンプラザホール大会出場のため、仙台に滞在。19日夜、仙台駅周辺で酒を飲み、宿泊先のホテルに帰ろうと1人でタクシーに乗った。同容疑者はホテル名だけを運転手に伝えたが、似た名前のホテルが複数あったという。

 タクシーはホテルを探したが、2軒連続で“外れ”だった時点で野沢容疑者が立腹。「お前、ふざけてんのか」などと怒鳴り出したという。同容疑者は身長179センチ、88キロの巨漢。金髪に赤や青を足したカラフルな髪形で、額に傷、首を含めた上半身にはタトゥーが多数ある。運転手は恐怖を感じながらも、逃げる機会がなく、運転を続けた。

 そのうち、携帯電話の電池が切れていた野沢容疑者が、運転手に「携帯の電池持ってこい!」と要求。運転手はコンビニ付近で電池を買う名目で車を降り、「客とトラブルになっています」と110番通報した。

 しかし同容疑者はそのすきに運転席に移動。運転手を置き去りにして、タクシーを発車させた。ただ、同容疑者は運転免許未取得でうまく運転できず、数十メートル先でストップ。駆けつけた警察官が取り押さえた。抵抗はしなかったという。

 メキシコのプロレスでも活動していた野沢容疑者は、同署の調べで住所と氏名を問われると、「メキシコのNOSAWA論外だ」と答え、住所不詳とされた。署員から「ロンガイの漢字は」と問われると「論外の論外だよ!」と語気を荒らげて説明したという。

 野沢容疑者は昨年4月の全日本プロレスの試合前夜に酒を飲み過ぎ、無断欠場したこともある。19日夜はレスラー仲間と仙台で飲食したが、その後も1人で飲んでいたとみられる。最近一緒に酒を飲んだという新日本の選手は「酒が好きなのに『禁酒している』と1杯だけ飲み、あとはウーロン茶だった。残念だ」と話した。新日本プロレスは同日、同容疑者の欠場と対戦カード変更を決定。「本人の話を聞いてから、新日本からの追放を含めて処遇を検討する」としている。