WBC世界スーパーフライ級王者佐藤洋太(29=協栄)の3度目の防衛戦が、4ラウンドごとの公開採点方式で行われることが25日、分かった。5月3日、タイ・シーサケット県で同級8位のシーサケット・ソールンビサイ(26=タイ)との対戦は、完全アウェーで地元有利の判定も予想される。日本人が世界戦で勝ったことがないタイで、ごまかしのききにくい公開採点は、史上初の快挙を目指す佐藤にとって朗報だ。

 公開練習前の会見でジムの金平桂一郎会長(47)が試合の審判団の構成と、採点形式を発表した。ジャッジは、ゲレラ氏(メキシコ)マッケイ氏(米国)キャバレリ氏(イタリア)の3人。採点は4ラウンドごとの公開採点だった。

 「公開採点は非常に助かる」と、金平会長は笑顔で言った。過去に、日本人がタイで行った世界戦は17戦で1分け16敗。ファイティング原田も、海老原博幸も、タイの地元有利な判定に泣かされた。それが今回は、アジア人のジャッジもいない中での公開採点。「しっかりポイントを取るような練習をしてきた」と日本人初の快挙をねらう佐藤には、願ってもない状況だ。

 WBCはタイトル戦が行われる際には、公開採点を推奨している。しかし、決定権は開催国のボクシングコミッションにあり、実際に米国などでは実施されていない。今回はなぜか、タイのコミッションが公開採点を採用した。金平会長は「計算を間違う可能性もあるので、ジャッジペーパーはちゃんと見せてもらう。4回、8回の後、ダブルチェックは必要でしょう」と気を許さない。

 佐藤は、すでに勝利のイメージを描き終えた。「4回までにいつも通りポイントを取りにいく。8ポイント差で勝つ」と宣言した。遠征中に3人目の子どもが生まれる予定。「これからの家計にも響くし、3人の子どもの強い父親として勝って帰ってくる」と自信を見せた。【桝田朗】