飛ばされはしなかったけど、記念星はお預け…。新十両で西十両14枚目の翔猿(とびざる、25=追手風)が初日に続き、この日も力真(21=立浪)に敗れ関取初白星は3日目以降に持ち越された。

 ズルズル後退する一方だった初日とは違い、この日は頭で当たり右の上手を浅く取り前に出た。だが不十分な体勢で、かいなを返され右脇が大きく空いた。たまらず局面を打開しようと、右から引いて回り込もうとした。だが、そこで足を滑らせ押し倒された。

 得意は押しや突きでなく「はたき」と話していた翔猿。「それも当たって前に出てから」と、相手に圧力をかけた上での引き技なら良しとしている。何も出来なかった初日から比べれば、この日は前に出て、苦し紛れながら引いて、その後も土俵の円をうまく使いながら白星を求めようと、理想とする相撲の片鱗は見せた。

 引いた場面は「反応的に引いてしまった」と悔やむものの、落ち込むそぶりはない。初日は突き倒され、土俵下に吹っ飛ばされ「飛びましたね、土俵下に」と自虐的なジョークを飛ばした。この日も「きのうより良い相撲は取れたか」の問いかけに「土俵下に飛ばなかったですからね」と笑いながら受け流すなど、マイナス思考には陥っていない。1場所7番で、相撲を取るかは前日まで分からない幕下以下時代に比べれば「疲れはあるけど毎日、取れるのはいい。幕下までは2日空くこともあって(翌日あるかは不規則で)分からないですから」とプラスにとらえている。猿のように土俵狭しと動き回り、今度こそ白星をつかみ取る。