高タンパクの具材を食べ、一方でバック転もできる運動能力を維持してきた。場所中は稽古場に現れず、自分の時間をつくり、考える。体重が5年前の倍以上になった今も四股を踏めば、足先は頭上約15センチまで上がる。だが、11勝4敗の先場所で「技能というより異能」という声も出て、技能賞を逃した。今場所前の7月1日、関学大名古屋支部同窓会では、あいさつで「周りから色物と見られてるんで」とこぼした。

 初土俵から15場所目。日本出身力士では史上最速タイの金星奪取は、まぐれではない。懸命の5年間で作った“宇良オリジナル”で、角界の頂点に土をつけた。「横綱に、自分の相撲が通用したとは思ってないです。これで終わりじゃない。自信をもっていきたいです」。進化を続ける男が、はっきりと今後への決意を語った。【加藤裕一】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 日馬富士は踏み込んではいたが、やりにくそうだった。見ていくのか、そのまま行くのか、中途半端で無理に行く必要もなかった。宇良が良かったということ。いろいろなことが出来るし昨日(の白鵬戦)にしても気後れしていない。

 幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)のコメント 宇良は運動神経がいいね。取ろうと思って(相手の腕を)取れるものではない。とったりは、とっさに出たのでは。面白い力士がまた1人、出てきたね。