大相撲田子ノ浦部屋の横綱稀勢の里(31)と大関高安(27)が4日、九州場所(12日初日、福岡国際センター)に向けて、福岡・大野城市の部屋で三番稽古を行った。13番で稀勢の里の9勝4敗。得意のおっつけや、胸を合わせて万全の寄りなど、順調な仕上がりを随所にのぞかせた。一方の高安も途中、押し出し、下手投げで連勝し、稀勢の里に「あーっ」や「くそーっ」と、大声で悔しがらせる場面もあった。

 稀勢の里は「いろいろやってみたいこともできた。状態はいいと思う。しっかりと精度を高めていきたい」と、詳細は明かさなかったが、自身で掲げたテーマにも手応えをつかんだ様子だった。高安は「少しずつキレが戻ってきている感じはする。横綱と(稽古が)できるのはありがたいこと。ただ、いい立ち会いのイメージは頭にあるけど、それと比べるとまだまだ」と、課題も口にしていた。

 稽古場を訪れ見守った相撲解説者の北の富士勝昭氏(元横綱)は、稀勢の里について「だいぶ戻ってきた。右上手を先に取った方が安定している。今度(の場所)はやらないとね」と、3場所連続休場中からの復調を感じ、期待を寄せていた。先場所の右太もも肉離れによる途中休場で、かど番で迎える高安については「(ケガの影響は)気にならなかった。それよりも、優勝するつもりで取ってもらわなきゃ」と、ハッパを掛けていた。

 また北の富士氏は、この日は「昔から交流がある」という、プロ野球阪神タイガース金本知憲監督の名前が背中に入ったジャンパーを着て訪れた。阪神タイガースの歴代監督とは、80年代の吉田義男氏のころから交流があるといい「力士よりも飲むからな。まあ、これ(ジャンパー)を着て大阪で飲むと安くなるからいいんだよ」と、なぜか日本シリーズ第6戦を控える日に、ソフトバンクホークスの地元福岡で自慢げに話していた。