大相撲の春巡業は10日、長野・伊那市で行われ、地元長野県出身の関脇御嶽海(25=出羽海)が、終始会場を盛り上げた。

 稽古では大関高安から指名を受けて4勝5敗と意地を見せ、直後には横綱白鵬に胸を借りてぶつかった。逆に地元の子どもを相手に稽古で胸を出したり、髪結い実演で、大銀杏(おおいちょう)ができあがるまでを披露したりと、土俵に上がり続けた。最後は取組で関脇栃ノ心をつり出して破り、大きな拍手を浴びていた。御嶽海は地元の声援に「うれしいけど緊張した」と振り返った。高安に指名され、白鵬に胸を出してもらったことには「光栄です。自信になった。いい稽古をつけてもらったし、結果を出さないといけない」と感謝した。

 3月の春場所では7勝8敗と、一昨年11月の九州場所以来、実に1年4カ月ぶりに負け越した。だが「悔しいというより、どこかホッとした。負け越した原因はあまりない。試練だと思う。気持ちを入れ替えて、勝ち越しを目指してやりたい」と、ショックなどはなく、心身ともに再出発と位置づけられる好機ととらえている。夏場所(5月13日初日、東京・両国国技館)に向けて「先場所みたいなことがないように、勝ち越して、いい場所にしたい」と力を込めていた。