大相撲で8場所連続休場中の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が2日、闘魂注入を求めて千葉・習志野市の阿武松部屋に出稽古し、平幕の阿武咲と三番稽古を行った。秋場所(9日初日、東京・両国国技館)前初めての出稽古で、最初の一番からエンジン全開だった。

阿武咲の激しい突き押し、強烈なのど輪を何発も受けながらも、まわしにこだわらず突き押しで対抗。その後も、まるで血気盛んな若手同士が行うほどの激しい相撲が続き、鼻血を出しながら途中「あークソ」と叫ぶなど感情もむき出しにした。13番取って10勝も、稽古中にうっすら笑みを浮かべる姿からは、数字以上に確かな手応えを感じているようだった。

昨年6月以来となる阿武松部屋への出稽古。「なかなか稽古場で力を出して激しくやってくれる人はいないところで、力を出してくれるいい相手」と、横綱相手でも物おじせずに立ち向かってくる相手を渇望していた。狙い通りの結果に「いろいろ考えながらやった。良かったですよ」とニヤリ。阿武咲が「体が浮きました」と驚くほどに、おっつけの力強さも戻ってきた。秋場所出場に向けて心も体も、ギアが1段階上がった出稽古になった。【佐々木隆史】