かど番大関栃ノ心(30=春日野)は結びで横綱稀勢の里に敗れた後、怒りを静めるのに時間がかかった。支度部屋に入る前に「あーっ!」と大声を出し、まげを直してもらいながらも「あー、くそっ!」。真っ赤な顔でジョージア語まで口走った。

栃ノ心は右四つに絶対的な自信を持ち、稀勢の里とはけんか四つ。立ち合い直後に一瞬のすきを突かれ、左四つに持ち込まれた。左から、もがくように下手投げを4、5回仕掛けたが、力尽きて寄り切られた。

「気合、気合しかないよ」と意気込んで臨んだ勝負に負けて「ダメですね」とポツリ。「最初ちょっと(バランスを崩した)ね…。横綱が自分の型になったからね」。5勝4敗。かど番脱出の勝ち越しには、残り6日で3勝が必要だ。10日目は西前頭筆頭魁聖戦、その後には横綱白鵬、鶴竜、大関高安戦が残る。正念場の終盤戦へ。「また明日からか?」と問われると、無言でうなずいた。