日本相撲協会を退職した元貴乃花親方(元横綱)の弟子、貴ノ岩(28)が元横綱日馬富士関に3000万円の慰謝料を要求していたことが、2日までに分かった。

昨年10月の秋巡業中、酒席で貴ノ岩が元日馬富士関から暴行を受け、2場所連続で全休。慰謝料と休場中の補償として金銭の支払いを求めていた。元日馬富士関側はこれを受け入れずに決裂。貴ノ岩が訴訟を起こす可能性が出てきた。

昨年10月25日、鳥取巡業での酒席で起きた暴行事件は、まだ完全決着していなかった。元日馬富士関は傷害罪で書類送検後、略式起訴で罰金50万円を支払った。昨年11月29日に責任を取って引退し、9月30日に東京・両国国技館で引退相撲を行った。その約2カ月前に、貴ノ岩が貴乃花親方(当時)と同じ弁護士事務所の代理人を通じ、元日馬富士関に慰謝料と休場期間中の補償として、3000万円を要求していた。

関係者によると、この件について元日馬富士関は弁護士からコメントすることを止められているという。関係者は「あまりにも法外な金額。ただ、日馬富士関としては、警察や相撲協会に対して話したことがすべてなので、相手が訴訟を起こすというなら受けて立つ考えです」と代弁した。代理人同士が話し合ったものの示談は成立しなかったため、裁判に持ち込まれる可能性が出てきた。

元日馬富士関側が受けた説明によれば、3000万円の根拠は2場所連続で全休となるけがを負わされたことへの補償と、慰謝料、入院費、交通費などだという。貴ノ岩側の担当弁護士はこの日午後、会議など多忙のため日刊スポーツの取材に対する対応はなかった。

暴行事件が起きる前の、元日馬富士関と貴ノ岩との仲を知る関係者は「貴ノ岩は日馬富士を『アニキ』と呼ぶほど慕っていた。貴ノ岩だけの考えで、ここまでの行動を起こすのか疑問が残る」と話した。この事件については、発覚した当時から、かたくなな態度を示している元貴乃花親方の意見が大きいとの見方もある。

元日馬富士関は引退し、元貴乃花親方は退職した。貴ノ岩は幕内に復帰して2桁勝利を挙げたが、問題はまだ幕引きとはなりそうもない。