大相撲の小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が、二所ノ関一門連合稽古を鮮烈な“KO”デビューで飾った。

1日、九州場所(11日初日、福岡国際センター)に向けて、福岡市の佐渡ケ嶽部屋で本場所前恒例の連合稽古が行われた。先代師匠の元貴乃花親方が退職し、今場所から旧貴乃花一門など5つの部屋が二所ノ関一門に合流。貴景勝は新十両友風に強烈な張り手を見舞い、脳振とうでフラフラにさせるなど存在感を見せた。

「バチーン」という、大音量が稽古場に響いた。貴景勝が右から振り抜いた張り手が、友風の左ほおをクリーンヒット。そのまま押し出すと、倒れ込んだ友風はなかなか立てなかった。何度も起き上がろうとしては膝から崩れ落ち、脳振とうでフラフラ。鼻からは流血した。ボクシングさながらの1発KOに、親方衆から「大丈夫か」「無理するな」と声が掛かるなど、一時騒然となった。名刺代わりというには鮮烈すぎる連合稽古デビューとなった。

「自分のスタイルですから。これまでと一緒」と、強烈な1発に気をよくするわけでもなく話した。同世代で同じく突き、押しを得意とする阿炎、阿武咲らとも激しい攻防を展開。元貴乃花親方から教わった稽古から全力を出す姿勢で、この日5勝4敗という勝敗以上の存在感を発揮していた。

10月に貴乃花部屋から移った千賀ノ浦部屋のほか、阿武松、錣山、大嶽、湊の計5部屋が今場所から二所ノ関一門に合流した。この日はその5部屋から関取衆は7人が新たに加わり、総勢18人の大所帯となった。しかもこれまでベテランが多かったが、新加入の7人全員が20代。芝田山親方(元横綱大乃国)は「貴景勝の(張り手)はすごい音だったね。若手が入って稽古内容も激しくなる」と、相乗効果も期待していた。【高田文太】