ケガや内臓疾患のため、4場所連続全休し大関から西序二段48枚目まで番付を落とした照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、全勝対決で勝ち無傷の6連勝。復帰場所での全勝優勝に大きく近づいた。

この日の相手は、東序二段82枚目の下村(18=境川)。父は元幕内力士・常の山で、下村は今や角界の一大勢力となった埼玉栄高出身で、昨年11月の九州場所で初土俵を踏んだ有望株。先場所の序ノ口デビューは4勝3敗だったが、今場所はここまで5連勝で素材の良さを示してきた。

もっとも、稽古ができていないとはいえ、体力差や経験値の差は歴然。右で張って左を差すと、完全に右脇が開いた相手を圧倒。回り込もうとする下村を、最後は腹を突きだすように押し出した。

前回の5番相撲は35秒を要した。「前のように胸を出して行ったら膝が持たない」と、この日は4秒足らずで勝負を決めた。1番ごと「今日はコレをやろうと決めて出ている」と、テーマを決めており、この日は「危なくないような勝ち方をしようと思っていました」と膝に負担のかからない相撲と決めていた。前日の稽古後、ビデオで自分の姿を確認したが「完璧にはできない。腰も下ろしたつもりだけど下りてない。痛みがあるから」と実践度に不満は残る。それでも「みんな勝ちに来ている。先輩(として)の意地はあるけど、相手がザンバラだろうが土俵に上がったら、みんなお相撲さん」と、大関経験者という変なプライドは頭から離し、一番一番に集中できている。

この日の相手には「これで(相手にされるのは)2度目かな。オレも昔、よくやった」と土俵上で、にらまれたという。いい度胸してるな…と、その態度は好意的に受け入れたようで「彼のことを取り上げてよ。オレのことばかりでなくてさ」と報道陣に“取材の勧め”。「若い頃に(相手をにらむのは)よくやりましたか?」の問いかけに「若い頃? まだオレも若いよ。27歳だよ。ケガしているだけ」と気力も、なえていない。

復帰場所の土俵は、本割があと1番。序二段の6戦全勝が3人に絞られたため、7番相撲で勝っても、優勝決定戦の可能性がある。不安に思っていた本場所の土俵で、番数を重ねるごとに自信を取り戻りつつあるようだ。