大相撲名古屋場所10日目の16日、現役最年長関取の西十両11枚目安美錦(40=伊勢ケ浜)が現役引退を決断したことを受けて、現役時代に48度対戦した元横綱稀勢の里の荒磯親方が、功労者の引退を惜しんだ。

この日、会場のドルフィンズアリーナで取材に応じた荒磯親方は「僕はまだ見たかった。どんなけがをしても戻ってくる力士だったから、ああいうけがをしたけど戻ってくるんじゃないかと心のどこかで思っていた。残念」と寂しがった。対戦成績は稀勢の里から31勝17敗。現役時代は安美錦戦の対策を練るため、何十回も映像で取り口を研究したという。「くせ者という言い方は悪いかもしれないけど、本当に強い力士。前半戦で安美関に勝たないと優勝争い、勝ち越しが見えてこなかった」。実力だけでなく、人間性も兼ね備えた力士だったと荒磯親方。昇進や優勝を果たしたときは、会うたびに必ず「おめでとう」と声を掛けてくれたという。荒磯親方は「アニキ肌。本当に心のある力士だった」と、しみじみと話した。