大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)を新三役として迎える小結朝乃山(25=高砂)は30日、福岡市内の部屋で相撲を取る稽古を再開した。

同部屋の朝玉勢に4勝2敗、寺沢に4勝と、幕下2人に計10番で8勝2敗。今月27日まで全20日(台風で中止の1日除く)の秋巡業は、15日間で朝稽古の土俵に立った。最後の2日間は休養に充て、広島・三原市で行われた25日の巡業以来、5日ぶりに相撲を取り「少し体がなまっていたかも」と話しつつ、勝った8番はすべて得意の右四つからの完勝だった。

付け人を務める2学年下の寺沢とは、プロ入り後、初めて相撲を取った。ぶつかり稽古で胸を出したことはあったが、相撲を取ったのは朝乃山が近大4年時に、寺沢のいた東洋大に出稽古した時以来、約4年ぶりだという。稽古後、寺沢が真横にいる状況で「とても先場所、幕下で負け越した(3勝4敗)とは思えないほど力強かった」と、寺沢に聞こえるように冗談めかして話したが、奮起を期待しての愛情の裏返し。寺沢は人懐こい笑顔を見せつつ、恥ずかしそうにしていた。朝乃山は続けて「付け人なので、強くなってほしい。付け人の力をつけてあげるのも自分の役目」と、三役力士らしく風格を漂わせた。

31日からは出稽古を予定している。「小結になりましたけど、挑戦者という気持ちを持ち続けないと。小結で終わりじゃない。まだ上があるので」と話し、力を込めていた。