13日に引退した大相撲の元前頭青狼のアムガー・ウヌボルド氏が14日、電話取材に応じ「もうちょっと番付を上げたかったけど、関取に上がれて良かった」と力士生活を振り返った。モンゴル出身で05年名古屋場所で初土俵を踏み、最高位は16年夏場所の西前頭14枚目で幕内在位は3場所。昨年九州場所から幕下に陥落し、7月場所の番付は東幕下57枚目だった。

引退の理由は「番付が下がって関取に上がるのが難しくなったから」と明かした。十両だった昨年9月の秋場所中に無菌性髄膜炎を発症。約2週間の入院で体重が20キロ落ちた。「(入院中は)ずっと頭が痛くて、熱もいつも39度とか。そこから力が出なくなった」。幕下に陥落した昨年九州場所で負け越し、引退を視野に入れた。師匠の錣山親方(元関脇寺尾)に相談した結果、7月場所後に引退することを決断。新型コロナウイルス感染拡大の影響で夏場所が中止となり、前倒しして引退することになった。

力士人生に区切りをつけ、周囲への感謝の思いが募った。師匠の錣山親方は厳しさと優しさの両面を併せ持ち「いつも一生懸命な指導。この部屋に入って良かった」と言い切った。弟弟子の前頭阿炎には「大関になってほしい」と期待。角界入りを橋渡ししてくれた元横綱朝青龍については「現役のときは『もっと頑張れよ』『しこ名に俺の“青”をもらってるのになんでそんなに弱いんだ』と厳しいことをたくさん言ってもらった」と、横綱流の愛情がありがたかった。

今後は故郷モンゴルで不動産関連の仕事に就くことを希望している。「父親もマンションを建てたりいろんな仕事をやっていた。いずれは会社をつくってみたい」。しかしコロナ禍で渡航できず、モンゴルに戻るのは来年以降になるという。「しばらくは日本でゆっくりします」と、当面は15年間戦い抜いた心身を休める。【佐藤礼征】