優勝争いが、がぜん面白くなってきた。自力優勝の可能性があるのは照ノ富士(28=伊勢ケ浜)だけで、千秋楽で3敗の御嶽海に勝てば復活優勝が決定。負けた場合、御嶽海と並び、結びの一番に3敗同士で対戦する朝乃山(26=高砂)と正代(28=時津風)の勝者を含めた優勝決定戦ともえ戦に持ち込まれる。

この展開に協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「(14日目の残り3番は)みんな優勝がかかった相撲だった。横綱、大関の休場は申し訳ないが、これで(ファンには)勘弁してもらおう。役者がそろったような気がする」と興味深そうに話した。

優勝の可能性があるのは4人。単独トップだけに「照ノ富士が有利だろうが、御嶽海も勝てば決定戦(に出られる)。集中力もあるし優勝経験もある。照ノ富士は(本割の)一発で決めたいだろう。いい相撲を取ってくれることを願ってる」と話した。

御嶽海が勝った場合、ともえ戦への“進出決定戦”となる結びの一番については、この日、照ノ富士を破った正代の力量を評価した。「正代が力をつけているということ。押し上げて圧力をかけての、いなしだから効いた。それにしても堂々としていた。(大関候補の)自覚が出てきたような気がする。今までだったら(大関候補と)言われても『いやあ、僕は…』と言っていただろう。その気になってもらわないと困る」と期待。一方の朝乃山については精神的重圧をおもんぱかった。照強の奇襲、足取りに屈したことに「警戒は頭にはあっただろうが、集中が散漫だったのかな。優勝争いとか(番付最上位者として)勝たなければならないとか、いろいろなことで意識が散漫して集中できなかったのか。新大関にして、1人で背負うのは荷が重いのではないか」。両横綱に、もう1人の大関(貴景勝)が途中休場。角界の期待、重責を1人で背負わされたような朝乃山の心中を察するように話した。