かど番の大関正代(29=時津風)を破った東前頭筆頭の若隆景(26=荒汐)について、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が、その技能相撲を高く評価した。

先場所、初の三賞を受賞した身上のおっつけが、この日も奏功。正代の左の差し手を何度も、この右からのおっつけで差し込まさせず、下からあてがうように封じた。正代の敗因を探すことより「今日は若隆景の攻めが良かった」と八角理事長。「うまい相撲を取った。おっつけながら相手の差し手を差させない。右からおっつけながら(正代の左を)振りほどいて出ている。右からの攻めが良かったですね」と何度も「おっつけ」の言葉を並べた。

小兵力士は珍しくない。土俵狭しと動き回り、相手の足を取ったり、相手を幻惑させる多彩な技で人気力士も多い。ただ、そんな小兵力士との違いを、八角理事長は力説もした。「跳んだり跳ねたりするのとは、同じ小兵力士でも(若隆景は)違う。実力で、いい相撲を取っている」。派手さはないが、正攻法で体格差のハンディを克服する182センチ、127キロの若隆景を褒めた。