消極的な相撲と立ち合いの変化で連日、豊昇龍(21=立浪)の相撲内容に苦言を呈していた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が、一転して見違えるばかりの、この日の相撲を褒めた。

大関朝乃山(27=高砂)と初対戦。立ち合いで鋭く踏み込み大関を押し込むと、先に左上手を引き右も差した。寄り返す朝乃山に胸を合わされたが、土俵中央で右足を相手の左足内側にかけ、そのまま体を浴びせるように内掛けでなぎ倒した。

電話取材に応じた八角理事長は、勝負が決まるなり「やれば出来る」と開口一番、発した。続けて「こうゆう相撲だ。将来を思えばね、きのうも言ったけど」。前日は大関貴景勝(24=常盤山)相手に、立ち合い右への変化で上手を取りに行こうとした。アッサリ読まれ、はたかれてバッタリ。安易に変化した立ち合いに同理事長は「残念だね。相撲を簡単に考えている。大関と当たる地位まで上がったのだから、必死に取るという気構えがないと。こうゆう負け方は将来につながらない」と苦言を呈していた。

6日目の大関初挑戦となった照ノ富士(29=伊勢ケ浜)戦も「スンナリ差しに行った。もっと動かないとだめだ。(十両時代に2度対戦があり)『何とか出来るんじゃないかな』と思っていたら大間違いだ」と、将来を期待するからこその注文をつけていた。

この日は一転。休まず攻め続けた内容に「立ち合いが良かったから流れが出来ているし、先に攻めている。(内掛けも)いい所にかかっている。朝乃山も上手を取って『よしっ』と思ったところだろう」と解説。さらに「いい当たりをして先に動けば勝機は出てくる。それを磨くことだ。大関を、あおむけにしたのだから自信になると思う」と今後に期待していた。