大相撲秋場所(12日初日、東京・両国国技館)まで1週間を切った6日、大関正代(29=時津風)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。

この日は、再入幕の豊山(27)と「10番から15番ぐらい」(正代)相撲を取ったという。先月23日の合同稽古で、小結高安(31=田子ノ浦)との三番稽古中に痛めた左肘は「今は全然、問題なく相撲を取れているので大丈夫かな、というところです」と不安はないようだ。先週の稽古では相撲を取った後にも筋トレなどで汗を流していたが、初日まで1週間を切ったこともあり、調整段階に入ったこの日は、それも避けた。

昨年の秋場所は13勝2敗で初優勝を成し遂げ、場所後の大関昇進を果たした。あれから1年。2ケタ勝利は大関2場所目の今年初場所(11勝4敗)だけで、2度のかど番も経験するなど苦しんだ。その1年を「自分の中ではよく1年間、守り抜いたなという感じ。ケガもあった中で、ギリギリだが何とか大関という地位は守れている」と振り返りつつ、今後は「ここからは守るのでなく攻めていけたらなと思っている」と心機一転を誓った。

そのためには「取りこぼしとか多かった。土俵際の詰めや強引な相撲はなくしたい」とし、時に課題ともいわれる腰高については「あまりそこを意識しすぎて自分の持ち味が減るのは良くない。持ち味が消えない程度に少しずつ修正していけたら」と柔軟性を持たせた。

合同稽古初日の出来事はいい薬になったようだ。稽古中に他の関取衆と談笑している場面が多かったことを、春日野親方(元関脇栃乃和歌)から「ペラペラペラペラおしゃべりするなら来るな。もっと貫禄見せろよ!」などと叱責(しっせき)された。「コロナの環境で他の部屋の人としゃべる機会がだいぶ少なくなって、しゃべり込んじゃって。ちょっと緩んでいた、たるんでいたという部分があったのを見透かされた感じだった」と反省。「春日野親方は大学出身力士の方なので、気にかけていただいていると思う」とも話した。

11月5日で30歳になる。20代最後の秋場所では「そろそろ、余裕をもって勝ち越したい。とりあえず自分はギリギリの力士で勝ち越すのもやっとなので、まずそこからかな、という感じですね」と、威勢良く優勝の2文字は口にしない。それも「ネガティブ」が代名詞だった? 正代らしいところ。この1年、存在感が消えた正代が、無欲の姿勢で秋場所に臨む。

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