全勝の大関貴景勝(25=常盤山)に今場所初めて土が付き、横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が優勝争いで単独トップに浮上した。照ノ富士を“アシスト”する形となった貴景勝に対し、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、切り替えの必要性を説いた。

関脇明生(26=立浪)を押し込んで攻め立てながらも、いなされて体が泳ぎ、さらに引いて相手を呼び込む形になり、劣勢に立たされた。土俵際で何とか回り込み、向正面で引いて明生を前のめりにさせたが、土俵を割るのが早く、9日目にして初黒星を喫した。

この一番に、八角理事長は「安全に安全に行ったところで最後にいなされて、土俵際に詰まった。あそこから前に出れば良かったけど、出られなかった。よく相手を見て突いていったけど、最後は足が出なかった」と解説。いさなれた場面は「バランスを崩して体勢を元に戻せなかった」と勝敗を分けたポイントを読み解いた。

その上で「1つ(の黒星)は仕方ない。明日から切り替えていくこと」と、その必要性を強調。「離れて(相撲を)取る人は、あの形には(しばしば)なる。1敗、2敗は仕方ない」とし、いなされて体が泳いだことにも「アレを気にすると前に出られないからね」と、押し相撲の力士が思い切りを忘れてはいけないことの重要性を説いていた。