大相撲夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)の新弟子検査から一夜明けた16日、東大相撲部出身の須山穂嵩(24=木瀬)が同部屋で初稽古に臨んだ。「今日初めてまわしをつけて四股をふみました。親方に教えてもらった四股は今までのとは違う感じで、お尻の方がかなり効いている」とはつらつとした表情を見せた。今後の目標については「東大なので、『東大関』を目指していきたい」と力強く言った。

前日の新弟子検査で須山は180センチ、104キロで体格基準を満たした。一夜明けて「新しい生活が始まったので、頑張ろうと思います」。日増しに高まる注目度にも臆することはない。「1日、1日頑張っていこうと思います」と語った。

埼玉・市立浦和高から1年浪人し、慶大へ。当時はバンドサークルに所属。1年の仮面浪人の末、東大文科三類に進み、相撲と出合った。「格闘技を前からやりたいと思っていて」と相撲部に飛び込んだ。「短い間にいろんな攻防があるのが面白い」と、気がつくとのめり込んだ。

もっと相撲を究めたい-と思っていた矢先、世界的に拡大する新型コロナウイルスが襲った。「コロナで大学3年、4年の間にあまり稽古ができなくて。もうちょっと強くなりたいなと思って、(相撲界に)入りました」。入学当初は74キロしかなかったが、好物のスパイスカレーを食べるなどして30キロ増量した。

趣味は読書、散歩、キャンプ、好きな小説家は文豪の谷崎潤一郎。文学部哲学科に在籍する縁で好きになった政治哲学者のロバート・ノージックを挙げ、「僕は結構前から自由とは何かを考えるのが好きでした」。座右の銘は「色即是空」を挙げるなど、独特な世界観があることをうかがわせた。

これまでずっと実家で生活していたが、今月13日から木瀬部屋へ移った。初めての集団生活に「夜とか途中で起きちゃいます」など戸惑いつつも、徐々に慣れていく。先輩たちと寝食を共にしながら稽古に励む。

今後、内臓検査の結果を待ち、夏場所初日に合格者が発表される。合格すれば角界初の東大出身力士が誕生する。その瞬間は刻一刻と迫っている。

 

 

◆須山穂嵩(すやま・ほたか)1997年(平9)9月23日生まれ、埼玉・ふじみ野市出身。埼玉・市立浦和高から1年浪人し、慶応大に入学。バンドサークルに入る学生生活だったが、2年連続で受験していた東大への思いを捨て切れず大学1年の冬に3度目の挑戦で合格。入学後に何か格闘技を始めようと考えていたところ、相撲部の見学に行ったことでのめり込む。趣味は読書、散歩、キャンプ。好きな食べ物はスパイスカレー。180センチ、104キロ。