東前頭筆頭の翔猿(30=追手風)が、西前10枚目の隆の勝(27=常盤山)を下して10勝目を挙げた。千秋楽で勝てばという条件付きだった殊勲賞も初めて手にし、実り多い場所となった。白星を2桁に積み上げ、九州場所での新三役の可能性も見えてきた。

殊勲賞を獲得した翔猿は、喜びを抑えきれない様子だった。NHKのインタビューで千秋楽で勝てばという条件付きだったことを問われ「すごい嫌でしたね。でも思いっきりいこうという気持ちにもなりました」

と語り、隆の勝を退けての賞獲得に「賞を取れたことがうれしいです」と笑みを絶やさなかった。

東前頭筆頭として臨んだ今場所。持ち前の前に出る相撲を貫き、2日目には横綱照ノ富士を撃破して初金星。6日目から7連勝で一時は優勝争いにも絡んだ。千秋楽で2連敗中の隆の勝を相手にも自分から前に出て、足蹴(あしげ)を繰り出したり、素早く動き回ったりと多彩な攻めで勝機をつかんだ。

「新入幕の時は僕の相撲を分からないでたまたま勝ったことが多かった」というが、今は違う。「力が付いて実力で勝つ面が多くなっています」と手応えを得ている。

初の殊勲賞。賞金200万円の使い道を問われると「いつも支えてもらっているんで、母に賞状ごとプレゼントします」と孝行息子ぶりを見せた。新三役の期待がかかる来場所に向けて「自分らしくどんどん前に出たいです。小細工ばっかりじゃなく、どんどん怖さを見せたい」と意欲を見せた。

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