西幕下2枚目の獅司(しし、26=雷)が、ウクライナ出身として初の関取に大きく前進した。

勇磨との全勝対決を制し、4連勝で勝ち越し。立ち合いから突いて出て、1度は土俵際まで押し返されたが、つかまえて寄り切った。まだ、たどたどしい日本語で「うれしい。来場所はたぶん、関取に上がります!」と声を弾ませた。新十両昇進は他の力士の成績次第だが、その権利は得た。優勝を目標に掲げ、さらに白星を重ねるつもりだけに、昇進への思いの強さが口をついた。

193センチ、175キロの恵まれた体格を生かし、初土俵から3年余り、関取間近の自己最高位で今場所を迎えた。大きな声援に「うれしい。ウクライナ出身だからかも」と感謝。ただこの日来日した、母国のゼレンスキー大統領の話題は「ちょっと」と、政治的発言は控えている。両親と祖母が戦火の母国に残り、2歳下の弟は埼玉県内に移住と、バラバラだからこそ「関取になりたい」と、吉報を届けたい考え。勝ち続けて昇進を確実にするつもりだ。