大相撲で大関経験者の朝乃山(29=高砂)が、実力急上昇中の新鋭を圧倒し、名古屋場所(9日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて、順調な仕上がりを披露した。

愛知・蟹江町の部屋で2日、出稽古に来た新入幕の豪ノ山(25=武隈)と三番稽古を行い、計14番で11勝3敗。十両で2場所連続2桁白星、先場所は14勝1敗で優勝するなど、力をつけてきた豪ノ山を寄せ付けなかった。

朝乃山は鋭い立ち合いから距離を詰め、相手得意の突き、押しを封じて寄り切るなど、いきなり7連勝した。6場所出場停止から、昨年名古屋場所で三段目として復帰して1年。東前頭4枚目まで番付を戻し、上位戦を迎える今場所に懸ける思いを示すように、気迫のこもった相撲を続けた。30度を超える暑さの中、屋外土俵での稽古だったが「いい感じで体が動いている。この暑さの中で、しっかり稽古できた。豪ノ山関が来てくれているのはうれしいし、お互いにいい刺激で稽古できていると思う」と、手応えを口にした。

6月末の番付発表後、豪ノ山が出稽古に来るのは3度目となった。うち1度は、前頭王鵬も来て関取衆3人で稽古。「2人は押し相撲。豪ノ山関は下から押してくる。王鵬関は押し相撲プラス組んで相撲を取ることもできる。部屋にいないタイプと稽古できたのはよかった」と、伝統的に四つ相撲の力士が多い高砂部屋にあって、収穫の大きさを強調した。

今場所は、そろって大関とりとなる豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇に注目が集まる。約2年ぶりに幕内上位で相撲を取る朝乃山は、3関脇にとって大関に昇進できるかどうかの、明暗を分ける存在となる可能性がある。24歳の豊昇龍を除く2人は、同じ93年度生まれの同学年。かつては番付で自身が先行したが、今度は追う立場となった。

「もともと自分が上位で取っていたけど、自業自得で落ちて、またここまで戻ってきた。上位、同年代、同級生は意識するというか、負けたくない」。大栄翔、若元春の同学年2人への対抗心はもちろん、過去に1度だけ対戦して敗れている豊昇龍に対しても、番付上位への「負けたくない」という思いが強い。大関とり3人のカベとなった上で「2桁以上、優勝目指して頑張る」と力説。今場所の主役に名乗りを上げるにとどまらず、来場所の三役返り咲きを見据えて堂々と話していた。