大相撲の元関脇寺尾で、17日にうっ血性心不全のため60歳で亡くなった錣山親方（本名・福薗好文）の告別式が23日、東京・江東区の錣山部屋で営まれた。多くの相撲関係者ら約400人が参列。部屋付きとして指導、錣山部屋を継承予定の立田川親方（元小結豊真将）や現役ら歴代の弟子の手でひつぎが運び出されると、沿道のファンから「寺尾、ありがとう！」の声が、次々と飛んだ。ひつぎの後ろから歩いて出棺に立ち会った弟子の小結阿炎は号泣した。

長男の福薗晴也（せいや）さん（28＝会社員）が遺族を代表してあいさつした。「身内がこのようなことを言うのは、怒られることを承知で申し上げますが、本当に本当に、本当に本当に、ものすごく優しくていい人でした」。「本当に」を4度も繰り返し、家族、弟子、友人、ライバル、ファンと多くの人から愛された故人の人柄をしのばせた。

戒名は「錣山院優好豊瑛居士（てつざんいんゆうこうほうえいこじ）」。親方名「錣山瑛一」のうち3文字が入った。ひつぎには故人が好きだった、日本酒や「くまのプーさん」のぬいぐるみなどが納められた。午前11時49分、霊きゅう車がクラクションを鳴らして発進すると、再び「寺尾、ありがとう！」の大合唱。斎場へ向かう道中は両国国技館前で停車した。相撲の聖地に最後の別れをして、天国へ旅立った。【高田文太】

◆錣山親方の告別式の主な参列者　芝田山親方（元横綱大乃国）、陸奥親方（元大関霧島）、佐渡ケ嶽親方（元関脇琴ノ若）、高田川親方（元関脇安芸乃島）、浅香山親方（元大関魁皇）、藤島親方（元大関武双山）、立田川親方（元小結豊真将）、鶴竜親方（元横綱）、霧島、琴ノ若、阿炎、阿武咲、王鵬、高田延彦、向井亜紀（敬称略）