大関経験者で大けがから復帰した、西三段目21枚目の朝乃山(31=高砂)が、7戦全勝で2度目の三段目優勝を決めた。1度、突っかけられた後の2度目の立ち合い。当たってすぐに、相手に左に回り込まれたが、慌てすに圧力をかけて右を差し、左上手も引いて危なげなく寄り切った。「温かい声援、拍手のおかげで、ここまでくることができた。支えてくれた方々に感謝したい。ケガなく終えることができてよかった」と、優勝したこと以上に、1年ぶりに皆勤できた喜びをかみしめていた。
取組前の時点で三段目では、同部屋で近大の同期でもある朝玉勢と、2人だけが全勝で並んでいた。同部屋のため七番相撲での対戦はなく、ともに勝てば、千秋楽の優勝決定戦で初顔合わせとなるところだった。だが朝乃山の3番前で朝玉勢が黒星。「ここまできたら、やりたかった。花道で見ていて、僕も悔しかった。その分『この一番で決めるぞ』という気持ちに切り替えられた」。朝乃山が敗れた場合は、1敗に大勢が並び、トーナメントによる優勝決定となっていたため、朝玉勢と対戦するとは限らない状況。10代のころから胸を合わせてきた朝玉勢との全勝対決という楽しみが消滅し、かえって目の前の一番に集中していた。
東前頭12枚目だった昨年7月の名古屋場所4日目一山本戦で、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの重傷を負った。直前の昨年夏場所も、反対の右膝を痛めて全休しており、先場所まで5場所連続で休場していた。実力者が三段目から復帰し「変なプレッシャー、勝たなきゃいけないプレッシャーはあった。毎日緊張していた」と打ち明けた。
三段目の土俵は、三段目最下位格付け出しの初土俵からの3場所、さらに6場所の出場停止から復帰した際の1場所に次いで計5場所。来場所は、幕下15枚目前後に番付を上げると予想される。幕下15枚目以内なら、再び7戦全勝の好成績を挙げれば、2場所後の7月名古屋場所で十両再昇進を果たす。ただ「幕下15枚目以内に入っても、入らなくても、1場所ずつ、膝と向き合いながら稽古に精進したい」ときっぱり。番付運に一喜一憂することなく、地道に地力をつけていくことを誓っていた。

