AKB48グループユニットじゃんけん大会が24日、愛知・日本ガイシホールで行われ、HKT48荒巻美咲、運上弘菜のコンビfairy w!nkの優勝で幕を閉じた。

 今年は300人を超える48グループのメンバー同士が、自由にユニットを結成して参戦する新方式となった。これまでの個人参戦と違って、優勝者が分かりにくくなった難点はあるが、結成に至った経緯をたどると、思わず感情移入してしまうユニットもあった。

 中でも「栄6期生」の健闘は、大会を大いに盛り上げた。開催都市の名古屋で活動する、SKE48の6期メンバー9人で結成されたユニット。北川綾巴ら、実はほかのユニットに内定していたメンバーもいたが、同期が集結すると知って全員が集まった。

 衣装を赤いセーラー服でそろえた6期生の本気度は、ハンパではなかった。1回戦は熊崎晴香が、半べそになりながら勝利。3回戦では、日高優月のイメージカラーの赤いペンライト一色に染まる客席の声援を受け、日高が勝った。勝利の瞬間、涙が止まらなくなり、「それくらい本気なんですよ。やった!」と絶叫した。じゃんけんというゲーム感覚の大会ゆえ、本気度が表れづらいイベントにしては、異常な気合の入り方だった。

 13年の劇場公演デビューから、成長の遅さが心配されていた世代だ。全員が研究生から昇格するのに2年を要し、運営からの信頼の証しでもあるSNS開設にも時間がかかった。ダンスが苦手なメンバーも多かった。デビュー当初のコンサートで、記者席の目の前で踊っていた北川が振りを忘れ、棒立ちになっていた姿を最近のことのように覚えている。ダンスが得意だった菅なな子、新土居沙也加(ともに卒業)や表現力豊かな古畑奈和ら、粒ぞろいの優秀な世代だった5期生と比べ、個性の見えてこない6期生は「落ちこぼれ世代」のように言われることもあった。

 あれから4年、6期生は48グループを代表する超個性派世代になった。北川、熊崎が選抜に呼ばれるようになったことに刺激を受け、他のメンバーがそれぞれの道を見つけ始めた。北野瑠華、竹内彩姫はグラマラスなボディーを生かして、グラビアで活躍中。独特の感性と文章力を持つ山田樹奈は、AKB48グループ新聞でのライブリポート、メンバーへのインタビューが大好評だ。鎌田菜月は将棋アイドルとして頭角を現し、青木詩織は地元静岡・焼津市で「やいづ親善大使」を務める。野球大好きな日高は、中日の選手のモノマネで選手からも認知度が高い。井田玲音名は、地元三重のFMいなべで1年半以上レギュラーを務めており、トークに定評がある。「ガラクタ世代」は、開けるのが最高に楽しい「おもちゃ箱世代」になった。

 じゃんけん大会は準々決勝で敗れ、12月発売のシングルでカップリングを歌える2~4位に入ることはできなかった。負けはしたが、かけがいのない同期のきずなを実感した。北野は「6期生はZepp NAGOYAでライブをするのが目標の一つなんです。将来、絶対にかなえたい」と語った。運ではなく、実力で夢を現実にする日は、そう遠くないだろう。だが、せっかくの個性派世代なのだから、過去に見たことのない個性あふれるライブを期待したい。