米スポーツ界最大のイベントとして全米が熱狂する米プロフットボールリーグ（NFL）の王者決定戦スーパーボウルが今年も7日に開催され、タンパベイ・バッカニアーズがカンザスシティ・チーフスに圧勝して18季ぶり2度目の頂点に立ちましたが、スーパーボウルの見どころは試合だけではありません。試合前の国歌斉唱やハーフタイムに行われるショーには毎年、豪華アーティストが出演して盛り上がるほか、試合の合間に放送されるコマーシャル（CM）までもが翌日の会話のネタになることで知られています。
全米で1億人が視聴するといわれるスーパーボウルのCMは、30秒枠が500万ドル、日本円にして5億円超えと言われる米テレビ界で最も高額なCMとして知られ、スポンサー各社は一流クリエーターを起用して趣向を凝らした映像を毎年制作しています。アメリカの平均CM価格は30秒12万ドルといわれているので、いかにけた外れの金額なのか分かります。また、値段もさることながら普段ほとんどCMには出演しないハリウッドスターを起用した豪華なCMも多く、放送後は多くのメディアでどのCMがベストだったかといった話題で盛り上がります。ちなみに、55回目となった今年のスーパーボウルは常連のコカ・コーラやバドワイザーなどがCM放送を見合わせるなど新型コロナウイルスの影響を色濃く反映していますが、それでも30秒枠の平均価格が昨年とほぼ同額の550万ドルに達したと伝えられ、今年も豪華なCMがラインアップされていました。その中から話題になっているCMをいくつか紹介します。
●フリトレー（スナック菓子メーカー）
ドリトスやチートスなどで日本でもおなじみのスナック菓子メーカーのフリトレーは、ジェリー・ライスや兄弟で活躍したペイトン＆イーラン・マニング兄弟、マーション・リンチら引退した元NFLスーパースターたちが揃って出演するCMを放送し、ファンを熱狂させました。
●T-モバイル（米携帯電話会社）
T-モバイルの5GのCMに起用されたのは、今年のスーパーボウルで優勝したバッカニアーズでMVPに輝いたトム・ブレイディと引退を撤回してブレイディのチームメートに舞い戻ったロブ・グロンコウスキーの2人。引退か現役続行か去就が注目されたブレイディがなぜ引退しなかったのか、またグロンコウスキーがなぜフィールドに戻ったのかは、電波の悪さにあったというのがCMのテーマになっています。
●ジープ（四輪駆動車ブランド）
ジープは、ブルース・スプリングスティーンを起用して「再び団結しよう」と訴えるCMを放送。ロック界の大御所スプリングスティーンがCMに出演するのはこれが初めてで、米国本土48州の中心地となるカンザス州を舞台に分断されたアメリカを再び一つにしようという力強いメッセージが込められた作品になっています。
●スコッツ・ミラクル・グロー（芝生やガーデニング製品ブランド）
美しい芝生のある庭で、ガーデニングを楽しむマーサ・スチュワートやゴルフをするカール・ウェザース、芝刈り機を操縦するNASCARドライバーのカイル・ブッシらが登場。そしてトリにジョン・トラボルタが娘で女優のエラとともに現れてダンスを披露というCM。映画「グリース」（1978年）でトラボルタが披露した懐かしいダンスを娘と共に踊るシーンが見どころになっています。
●ドリトス（スナック菓子）
人気スナック、ドリトスのCMに起用されたのは、マシュー・マコノヒー。紙のように薄っぺらい姿になったマコノヒーが、ロボット掃除機に足が吸い込まれそうになったり、犬の散歩中に風に吹き飛ばされたりする姿が笑いを誘い、ラストは立体的なスナックとして90年代に人気を博した「ドリトス3D」の自動販売機を見つけて、機械の中に入り込んでスナックを食べると無事に元の姿に戻るというコメディになっています。
●ステートファーム（保険会社）
NFLのスターQBアーロン・ロジャース（グリーンベイ・パッカーズ）が撮影セットで自分に似たスタンドイン（役者の代役）はいないのかと不満を漏らすと、チーフスのQBパトリック・マホームズが「僕の見る？」と言って俳優のポール・ラッドが登場。さらに人気歌手のドレイクが保険エージェントとしてサプライズ登場し、軽快な掛け合いで盛り上がるというCMは、豪華キャスティングとコミカルなドレイクの演技が話題になっています。
●アレクサ（アマゾンが開発したAIアシスタント）
アレクサのボディがスマートスピーカーではなく、人間だったら？ という女性の妄想をショートフィルム仕立てにしたCMで、アレクサ役を演じたのはピープル誌で昨年の「最もセクシーな男性」に選ばれたマイケル・B・ジョーダン。バスタブで女性と一緒に湯船につかりながら本を音読したり、「明かりを暗くして」と言われると服を脱いでランプにかけて暗くするなど女性ファンならドキドキしそうな内容になっています。
