先月6日に米首都ワシントンDCの連邦議会議事堂で起きた襲撃事件を扇動したとして史上初の2度目となる弾劾起訴されたトランプ前大統領の弾劾裁判で13日、米上院は無罪評決を下しました。

すでに大統領を退任しているため、有罪になっても罷免されることはありませんでしたが、将来的に再び大統領選への立候補を禁じられる可能性があったものの、有罪に必要な出席議員数の3分の2には届きませんでした。この結果を受け、ハリウッドでは多くのセレブが失望や批判の声を上げています。

弾劾裁判の評決後に話すマコネル上院共和党院内総務(AP)
弾劾裁判の評決後に話すマコネル上院共和党院内総務(AP)

アカデミー賞の司会も務めた人気司会者のジミー・キンメルは、「自分は間抜けだとまた感じている。もっと多くの人が正しいことをすること望んでいる」とツイート。女優アリッサ・ミラノは、「暴君を有罪にする愛国心と誠実さを持っている共和党議員が7人しかいないのはアメリカにとって悲しい日です。上院が仕事をせず、裏切り者のドナルド・トランプを有罪にすることができないのであれば、裁判所がそれをするべきでしょう」と投稿し、刑事裁判の場で責任を問うべきだと訴えています。

また、歌手で女優のベット・ミドラーは「アメリカのみんな、心が傷つく準備をして」と書き込んでいるほか、俳優ジョン・キューザックも「7人の共和党議員は有罪に投票したが、残り(の共和党議員)は明らかなファシストだ」と投稿し、ほかにもドン・チードルやジョン・スチュワートら多くの俳優が抗議の声を上げています。

また、かつてトランプ氏の友人だった司会者でジャーナリストのピーアース・モーガン氏も自身のツイッターで「速報」と題して「根性のない哀れな共和党の上院議員は、ドナルド・トランプが有罪であることを知りながら弾劾裁判で無罪にした」と無罪に投じた43人の共和党議員を批判。俳優で映画監督のロブ・ライナーも無罪にした43人について「大統領による米国史上最悪の違法行為はオーケイらしい」とツイートしています。

一方で、無罪に投票した直後に、実質的かつ道徳的にトランプ氏に事件の責任があることは疑いの余地がないと述べた共和党の実力者であるミッチ・マコネル上院議員へも批判が殺到しています。これまでもトランプ氏を度々批判してきた俳優マーク・ラファロは、「元上院多数党院内総務の恥ずべき服務規程違反として彼の業績を完璧に表している」とツイートし、有罪にしなかったことは臆病で愚かだとマコネル氏を非難。女優パトリシア・アークエットも、無罪に投票した後で民主党議員を支持する演説を始めたことに疑問を呈し、「恥を知れ。あなたは彼を無罪放免にしたのよ」と投稿。また、女優ミア・ファローは「テレビでミッチ・マコネルが相反するふたつのことをやっている」とツイートし、日系アメリカ人の俳優ジョージ・タケイもマコネル氏の無罪投票をSNSで批判しています。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)