大阪府などに出されていた4度目の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が延長されました。大阪府は酒類を提供する飲食店への休業要請を9月末まで継続することを決定。何度も繰り返される前例のない“禁酒”に関西を代表する歓楽街、大阪・北新地には、疑問、疑念、心配など複雑な思いが交錯しています。

「対策の効果も検証せず、我々には『もっとやれ』と言うだけ。ふざけるなと言いたい。もうとっくに体力の限界を超えている」

北新地で「Bar織田」を経営する織田高央さん(53)は繰り返される休業要請に応じてきましたが、“禁酒”の延長にやりきれない思いを漏らします。

約450店が加盟する北新地社交料飲協会には経営者らから多くの声が寄せられています。

「来年、税金をどれだけもっていかれるのか…」

北新地のある大阪市北区のコロナ禍で時短や休業要請に応じてきた飲食店が協力金をフルに申請した場合、9月末まで計約840万円が支給される見込みだといいます。

すでに例年の売り上げを上回っている個人経営のスナックなどもあるそうですが、女性経営者らからは「税金」を心配する声も数多く寄せられています。小規模な飲食店では協力金の“コロナバブル”と指摘もありますが、コロナが収束に向かったとしても、「店を開けたからといってすぐにお客さんが戻ってくるわけではない」と女性経営者。840万円は“禁酒”が解除され、協力金が途切れた後、店を続け、生活をするための「命金」になります。

政府は希望者のワクチン接種が完了する11月ごろをめどに「行動制限緩和」を実施する方針です。自治体から適切な感染対策を講じていると認証を受けた飲食店では、営業時間や酒類の提供、会食の人数に関する制限を緩和する案です。

織田さんらが望むのはもちろん早期の「禁酒」の解除ですが、「緊急事態宣言期間中は、いっさい“緩和”とかは言わないでほしい。総選挙を意識した“ニンジン”に思えてならない」と疑念を抱き、「感染者が増えれば、現場は高リスクを背負わなければいけないことになる。これまでの我慢が無駄にならないようにしてほしい」と“緩み”に危機感をにじませています。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)