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宝塚 ~ 朗らかに ~

宝塚 ~ 朗らかに ~

 夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

9・3大劇場新人公演「愛と革命の詩」準主役/柚香光

[2013年8月22日9時0分]

新人公演で準主役に決まり、多くの課題に意欲的に取り組む柚香光(撮影・村上久美子)
新人公演で準主役に決まり、多くの課題に意欲的に取り組む柚香光(撮影・村上久美子)

 兵庫・宝塚大劇場では、花組公演「愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ」「Mr. Swing!」が上演されている(9月23日まで)。芝居「愛と-」の新人公演(9月3日、宝塚大劇場)には、5年目の男役、柚香光(ゆずか・れい)が準主役に抜てきされた。革命詩人アンドレア・シェニエと貴族令嬢マッダレーナの恋、彼女への思いを胸に秘める革命の闘士ジェラールと、3人の人間ドラマを描く。柚香はジェラール役。東京宝塚劇場の新人公演は10月24日。

 まだ少年のような雰囲気が残るが、その内面は貪欲だ。大先輩のトップ蘭寿とむ、月組から移籍してきた準トップ明日海りおから男役としてのあり方、舞台へ向き合う姿勢を学ぶのはもちろん、さまざまなジャンルからエンターテインメント性を吸収している。

 「いろんな人、物、場所に(男役に生きる)ヒントはあると思う。去年、SMAPの東京ドーム公演に行く機会がありまして、自分たちの見せ方、たたずまいがすばらしい。ジャンルは違っても、お客さまを楽しませるという目的は同じ。こういうエンターテイナーになりたいと思いました。NGK(なんばグランド花月)にも行きました」

 そんな柚香に、今公演では、多くの課題が与えられた。本公演の芝居「愛と-」は心理表現、情景描写を踊りで表現する「黒い天使」にふんし、ハンブルクバレエ初の日本人女性ソリスト・大石裕香さんから振り付けを受けた。ショーでは女役として蘭寿と組む。そして、新人公演が準主役への抜てき。本公演では明日海が演じる革命の闘士だ。

 「(新公の役は)自分が求めた理想と現実のギャップに悩み、昔から思っていた女性への恋に悩む。(主人公を含め)完全なる三角関係。そんな役は初めて」

 本役の明日海は移籍後、大劇場作品は初めて。柚香も初共演となる。「役への取り組み方を含め、お芝居に対して誠実な方」。学ぶところも多い。柚香がずっと「舞台に誠実な人」の背中を見て、感じたことだ。

 「蘭寿さん。舞台に真剣に向き合う姿勢をずっと見てきました。きちんと道しるべを示した上で、私たちの個性を大事にしたいと自由にやらせてくださる」

 前作の大劇場公演「オーシャンズ11」では、本公演で蘭寿演じる主人公の仲間に抜てきされた。「自分のパートをいただいたのですが、その時間を持つということへの責任、重みを、蘭寿さんから教えていただきました」。人格的にも尊敬する偉大な先輩の言葉は、今も胸の真ん中にある。

 「1年半前、新人公演で初めてといってもいいセリフをいただいたばかりだったのが、最近、急速に(立場が)変わって」。芝居に臨む楽しさを再発見した。もともと、ピアノ、クラシックバレエこそ習っていたものの、宝塚の世界をあまり知らず、周囲の強い勧めで願書を手にした。

 「音楽学校のカリキュラムが、歌やダンスと夢のような時間割で。3カ月後には受験して、ご縁があったのか、すごい引力で引き込まれ...。前しか見ないで、ずっと直進してきました」

 まっすぐに進んできた。

 「同期や仲間と話して、笑って、リフレッシュして。好きなことをやっているので、ストレスも感じないです。あ、今度の休み、どこかでみんなで花火をしたい。夏ですしね!」。無邪気、無垢(むく)な若手スターの目には「前」しか見えない。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-」〜オペラ「アンドレア・シェニエ」より〜 イタリアオペラ「アンドレア・シェニエ」をベースにしたミュージカル。実在の革命詩人アンドレア・シェニエ(新人公演は芹香斗亜)と貴族令嬢マッダレーナ(同・朝月希和)との恋、マッダレーナへの思いを抱く革命の闘士ジェラールと、3人の人間ドラマを軸に描く。

 ☆柚香光(ゆずか・れい)3月5日、東京都生まれ。09年4月、宙組公演「Amour それは...」で初舞台。花組に配属。11年の花組公演ショー「Le Paradis!!」で妖精役。今年2月「オーシャンズ11」は、本公演でターク・モロイ役に抜てき。現在の「愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ」本公演では黒い天使、新人公演で準主役の革命の闘士を演じる。同期は宙組娘役トップ実咲凜音、月組娘役トップ愛希れいから。身長171センチ。愛称「れい」。

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