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宝塚 ~ 朗らかに ~

宝塚 ~ 朗らかに ~

 夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

初ヒロイン6年の経験生かす/華雅りりか

[2014年2月20日11時19分 紙面から]

「ラスト・タイクーン -ハリウッドの帝王、不滅の愛-」ヒロインの華雅りりか
「ラスト・タイクーン -ハリウッドの帝王、不滅の愛-」ヒロインの華雅りりか

 花組6年目の娘役、華雅りりかが25日、兵庫・宝塚大劇場で、新人公演「ラスト・タイクーン -ハリウッドの帝王、不滅の愛-」で、ヒロインを演じる。4月から新人公演最終学年となる7年目に入り、その目前で、新人公演初ヒロインを射止めた。東京宝塚劇場の新人公演は4月24日。

 「あと(出演資格のある新人公演は)何回だろう? ってところですからね。誰でもいつかはやってみたいと願い続けている。(新人)卒業の前にもう1回、チャンスをくださってありがとうって気持ちです」

 華雅は3年目のバウホール公演「摩天楼狂詩曲(ニューヨークラプソディー)-君に歌う愛-」(10年)で、役がわりヒロインを経験。それ以来のヒロインに「6年間分の経験は、ちゃんと形にしなきゃ」。ただ喜ぶだけではなく、立場を自覚。自ら運気を呼び込む行動も起こしていた。

 「昨年末に(ヒロインを)言われたんですが。その前の休みに、夢だったスペイン旅行へ。宝塚から離れて、オフをちゃんと味わってみようと思って」。学生時代、スペインの名所、サグラダ・ファミリアの美しさに魅了され、建築家を志したことがあった。

 「ジーパンをはいて、男役さんが着るようなシャツを着て、走り回ったんですよ。スペインの大地を! 本名の自分を思い出し、何かが(心の中で)動いた。スペインの力で、流れが変わった気がしました。思い出のサグラダ・ファミリアにも行きました。なんだか、尊敬していた人に会った気持ちに似ていましたね」

 あこがれの地で、素の自分を取り戻した。というのも、真矢みきにあこがれ、当初は男役志望だった。

 「合格発表のときに着物を買うんですけど、男役のつもりだったから、濃い紫色を買ったんです。でも、実際に周りを見たら、みなさん大きくて…」

 身長163センチの華雅は娘役へと志望を変えた。はつらつとした表情で、ハキハキと答える姿は、快活そのもの。元気系キャラクターの方が似合うと思われ、自らもそう思っていたが…。

 「バウのヒロインは元気系、しっとり系の役がわり。観劇された方に、しっとり系の方が、考え込んで作り込んでいたから魅力的だったと言われて。背伸びした分、違う自分が出せたのかもって思いました」

 新たな引き出しが増えた。その経験を生かし、今作は、ハリウッドの名物プロデューサーに愛される夫を亡くした婦人に挑む。ずっと誠実に仕事へ取り組んできた。そんな華雅の姿を、花組トップ蘭寿とむも見ていた。

 「(新公初ヒロインに)蘭寿さんが『よかったね』と、言いにきてくださったんです」。若手娘役とトップ。遠い立場の偉大な先輩が、言葉を掛けてくれたことに感激した。華雅は舞台人として、人として、蘭寿を敬愛してきた。

 「蘭寿さんが言葉にしなくても、その存在の仕方や立ち居振る舞いによって、役柄はもちろん、舞台へ向かう姿勢が伝わる。ずっと学ばせていただいてきました。それに、ピリピリしているときがない。いつも落ち着いて、穏やか。私もそうありたい。今回の役を丁寧に作っていきたい」

 今公演で退団する大先輩の姿勢を心に刻み、チャンスに臨む。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「ラスト・タイクーン-ハリウッドの帝王、不滅の愛-」~F・スコット・フィッツジェラルド作「ラスト・タイクーン」より~ フィッツジェラルドが最後に取り組んだ未完の長編小説をミュージカル化。1930年代のハリウッド映画界を舞台に、大物プロデューサーの栄光と挫折、亡き妻とそっくりの夫を亡くした婦人との愛を描く。新人公演主演は、華雅より1学年下の新進男役、柚香光(ゆずか・れい)。

 ☆華雅りりか(かが・りりか)8月1日、東京生まれ。08年「ME AND MY GIRL」で初舞台。星組に配属。10年7月から1年間、1期上の芹香斗亜と「第9期スカイフェアリーズ」。同年8月、バウホール公演「摩天楼狂詩曲(ニューヨークラプソディー)-君に歌う愛-」で、音波みのりと役がわりヒロイン。12年4月、花組へ異動。身長163センチ。愛称「りりか」「りりこ」。

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