エッセイストの能町みね子さん(36)が、テレビ番組で、「オネエ」と位置付けられ、抗議している。出演はしていなかったが、2000年以降に活躍するオネエタレントの1人として名前を挙げられたことを知り、番組側に訂正を求めた。その真意を聞いた。

 能町さんは、今月4日に放送された日本テレビ系バラエティー番組「今夜くらべてみました」(火曜午後11時59分)の内容に抗議している。ボードで芸能界で活躍してきたオネエタレントが年表で紹介される中、能町さんは2000年以降に活躍する1人として名前と顔のイラストを掲示された。能町さんは視聴していなかったが、間接的にそのことを知り、同日中に「私はオネエではありませんので日テレの人は訂正してください」などとツイートした。その理由から聞いた。

 「オネエという表現は、差別に受け取れます。割り切ってオネエを受け入れて仕事されている方もいらっしゃいますが、私は違います。ひとくくりにしてほしくありません」

 07年、能町さんは戸籍を男性から女性に変更した。同年1月にタイで性別適合手術を受け、3カ月後には家庭裁判所に戸籍変更を認められた。「ニューハーフ」「女性的な男性」などの意味で使われる「オネエ」が適さないのは事実。かつて男性だったことを隠してはいないが、それを売りにはせず、エッセイストとして評価され、テレビ出演も重ねている。戸籍変更の過去を知らない視聴者も多い。その状況で事前に知らされることもなく、「オネエ」とされた憤りがある。

 「戸籍を変更しているからではなく、今回のことは例えて、デブ、ブサイクを売りにする芸人さんがいて、その一覧に一般の人が何も知らされず、名前を書かれるようなことです」

 番組責任者からは、放送2日後の6日に、面会して事情説明したい旨のメールが届いたが、能町さんは「メールに謝罪の言葉がない」「私1人に大勢で来られても丸め込まれる」として面会を拒み、続けてメールでやりとりする旨を7日に返信。その後、責任者からの返信はないという。日本テレビ広報部は、日刊スポーツの取材に「ご本人にお話を伺うべく、担当者が連絡を取らせていただいております」としている。

 ◆能町みね子(のうまち・みねこ)1979年(昭54)3月17日、北海道出身。大学卒業後、06年に「オカマだけどOLやってます。」を出版。07年に性別適合手術を受け、脱オカマ宣言。「くすぶれ!モテない系」など著書多数。イラストレーター、声優でもあり、ラジオ、テレビに出演。フジテレビ系「ヨルタモリ」には「常連客」として出演している。大相撲ファンとしても知られる。