歌舞伎俳優の中村東蔵(78)が15日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
「びっくりするのは当たり前ですが、大変にうれしいです。まず、亡くなりました6代目中村歌右衛門の師匠に報告しなくては。多分、喜んでくださると思いますが、その半面『え、おまえさんが!?』と笑われてしまうかも」と喜んだ。
東蔵の姉は日本舞踊家で女優の故藤間紫さん。芸事に囲まれた環境で育ち、幼い時から、舞台や映画で活躍してきた。23歳の時に歌右衛門さんの芸養子になり、歌舞伎座で中村玉太郎を名乗り初舞台。女役、立役の両方で定評があり、最近では老母役で高く評価されている。深い情感を見せる芝居は、観客を引き込む。
東蔵は「テクニックなどは今は考えないですね。どの先輩方もおっしゃるように、やはり気持ちだなと実感しています」と話した。
代表的な役は、「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」の母微妙(みみょう)、「双蝶々曲輪日記 引窓」の母お幸、「競伊勢物語」の母小由など。
キャリアを重ねても初役に挑むことも多い。今月の歌舞伎座「七月大歌舞伎」の「柳影沢蛍火」では、徳川綱吉の生母桂昌院を初役でつとめている。
東蔵は「主役をやりたい、やりたいと思って、そうじゃない役がきても、お芝居が好きだから何でもやってきました。いつの間にか、なりたくないのに脇役になってしまいました。そのおかげで、文化財(保持者)になったので、流れに身を任せるのも悪くないなと思っています」と、自然体で歩んできたとした。



