解散の背景とされる中居正広(44)と木村拓哉(43)にあった深い溝。1月に表面化した独立騒動で対立は決定的となったが、かつて2人は強い絆で結ばれていた。

 高校の合否発表は、中居と木村、2人の母親と4人で見に行った。木村を好きな女子のため、中居がその女子と木村、別の女子を誘い、東京ディズニーランドでダブルデートしたことも。中居は以前、ラジオで「結成20年間で最も楽しかったこと」に、レギュラー番組収録現場だった西武園ゆうえんちに、テレビ局が用意したハイヤーで、同じ高校の木村と2人きりで通ったことを挙げた。木村もラジオで「中居が編集したテープを毎週聴きながら行ってましたね。今週も『プリプリ』入ってんなぁとか」と振り返った。

 デビュー曲は思うほどヒットせず、アイドルグループとして危機を感じた時は飲みに行きグループの方向性を真剣に話し合った。木村が00年に結婚会見をした後、中居が全メンバーを食事に誘い「おめでとう会」を焼き肉店で開いた。

 その後、SMAPはスターダムを駆け上がり、ソロ活動も充実し始める。中居はバラエティーを中心に司会、木村はドラマを中心に俳優と、それぞれトップの地位を築いた。異なる分野で活躍し、互いに認め合う関係になった。

 女性マネジメント室長のI氏の退社に伴い、グループ存続のためI氏が不可欠と考えた中居、稲垣吾郎(42)草なぎ剛(42)香取慎吾(39)は独立を決意。木村は分裂覚悟で事務所残留を決めた。木村は、グループ存続を願う中居に説得されたが応じなかった。2人に決定的な亀裂が生まれた。

 以降、1月にグループ唯一のレギュラー番組フジテレビ系「SMAP×SMAP」の収録現場で、中居、稲垣、草なぎ、香取の4人が木村に話し掛けることはなかった。雰囲気を察したのか、木村も4人が話す場に加わろうとしなかった。

 トークコーナー収録で自分が話題を振っても誰も答えない時があり、木村は「何であいつらはちゃんとやらないんだよ」と吐き捨てるように言った。歌唱収録でも息の合ったパフォーマンスができなくなった。「何であいつらはノリが悪いんだよ」。木村のいらだちは続いた。

 同番組の生放送で謝罪したことで騒動は収束すると考えた木村と、木村に裏切られたとの不信感が強く残った中居。ともにグループ存続を望みながら、メンバー間に生じた確執を取り除くことはできなかった。結成以来、グループの方向性を決めてきたはずの2人の後ろ姿を見た香取、草なぎ、稲垣は、未来を感じることができず、解散という結論に向かってひた走った。

※なぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀